Image may be NSFW.
Clik here to view.
Recorded July 27, 1965.
Released by ESP Disk as the album "Lowell Davidson Trio", ESP 1012, 1965
[ Personnel ]
Lowell Davidson - piano, Gary Peacock - bass, Milford Graves - percussion
Image may be NSFW.
Clik here to view.
主流ジャズからフリーに移った白人ピアニスト、ポール・ブレイはビル・エヴァンスの影響をくぐってきた人でしたが、ダヴィッドソンもモンク、ニコルスの名を上げながらエヴァンスのヴォイシングから相当学んだ節があり、セシル・テイラーやアンドリュー・ヒルを始めとする黒人の尖鋭的ピアニストの渦巻くような加速感のある演奏とは違った、思索的で沈鬱な印象派的な作曲と演奏に趣味の良さが光ります。音数は最小限に少なく、オスティナート(リフレイン)やブロック・コードもほとんど弾かないのに持続した定則リズムを感じさせるのはベースとドラムスとの息が合い、しっかりした体内ビートをキープしているからで、非常に将来性のあるピアニストでした。
このアルバム発表後にダヴィッドソンはクラブ出演の契約を獲得しますが、精神疾患の発症から契約をキャンセルし、アルバムも本作きりのままジャズ界から姿を消しました。このアルバムが初CD化されたのは'92年ですが、前年の'91年に逝去していたのが判明し、闘病に明け暮れた生涯だったそうです。日本盤CDは廃盤ですが輸入盤ともども入手は難しくなく、フリー・ジャズながら異色の抒情的印象派ピアノ・トリオ作品として一度聴けばたまに無性に聴き返したくなるアルバムです。こういうオブスキュアなジャズマンこそが歴史の厚みを担っているような気もしてきます。