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Recorded and mixed at Studio Panne Paulsen, Frankfurt / Main in January 1977.
Released by Brain Records / Metronome Records GmbH Brain 60.040, April 1977
Produced & Composed by Klaus Schulze
(Side 1)
A1. ビロードの航海 Velvet Voyage - 28:20
A.a 1984 1984
A.b 飛翔体 Aeronef
A.c 日蝕 Eclipse
A.d 放射 Exvasion
A.e 清らかな星の空間 Lucid Interspace
A.f 旅路の果て Destination Void
(Side 2)
B1. 水晶の湖 Crystal Lake - 29:12
B.a 樹林の囁き Xylotones
B.b 蒼い水藻 Chromwave
B.c 暗柳の夢 Willowdreams
B.d 湖面の影 Liquid Mirrors
B.e 春の舞踊 Springdance
B.f 訣別 A Bientot
[ Personnel ]
Klaus Schulze - electronics
*
(Original Brain "Mirage" LP Liner Cover & Side 1 Label)
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本作は高い完成度を認められながら'70年代シュルツェの総決算とも異色作ともされる点で、やはり完全なソロ録音(初期2作『イルリヒト』『サイボーグ』は弦楽オーケストラのサウンドをベーシック・トラックにしていました)である『タイムウィンド』と並ぶ位置にあり、サウンド傾向としては『タイムウィンド』とは正反対の、かつてないほど色彩感に溢れて軽やかな音色を用い、楽曲内のヴァリエーションや展開も鮮やかで、重厚なシュルツェ作品の中では異色とされるのもそうした面からですが、本作をシュルツェにしては異例に耳ざわりの良い異色作とする評はいささかシュルツェの音楽を、シュルツェ自身が言及しているのも一因ですが、ドイツの後期ロマン派の系譜に置きすぎていて、本作はこれまでのシュルツェのアルバムとは逆にA面にメディテーショナルな曲想とアレンジ、B面にポリリズミックなオスティナート曲を配置していますが、『タイムウィンド』とはっきり分けるのは音色や曲想よりも『ムーンドーン』から導入されたシンセサイザー・シークエンサーによる細分化フレーズ反復のリズム楽曲としての使用です。それがA面のメディテーション・サイドでもテンポ・ルバートに流れない密度の高いアンサンブルを生み、ここまで思い切ったメロディアスなアプローチは確かにこれまでのシュルツェには見られなかったことです。さらにB面のポリリズム・サイドではきらびやかな音色から次々に音色変化による曲想の変化があり、特に21分過ぎからの短いバラード的展開を経て23分台からの鳴き交わす鳥の交響のようなシークエンス・パターンに乗せて主旋律と副旋律が交替しあいながら♬♪♩', ♬♪♩', というリズムの反復フレーズに収斂していくのは(日本人の耳には「何でやねん」と聞こえるのが何ですが)圧巻です。ドラムス、パーカッションこそ入っていませんがこれは『ムーンドーン』A面、『ボディ・ラブ(サウンドトラック)』B面からシュルツェがソロ録音のシークエンサー使用だけで試みたヴァリエーションであり、総決算・異色作とする見方も本作の特色に気づかせてくれるものですが、本作もまたシュルツェにとっては可能性の扉となった一作で、前後作と併せることでいっそう豊かな聴き方ができるアルバムです。また本作のメロディの過剰さは、ロック、しかもシュルツェのサウンド文脈の中では決して耳ざわりの良いサウンドとは言えないのではないでしょうか。