Produced, recorded and mixed September 26 - October 1, 1971 at Star Musik Studio (Ralf Arnie), Hamburg.
Released by Philips Records 6305 117, January 1972
Produced, Recorded, & Mixed by Conrad Plank, Florian Schneider-Esleben, Ralf Hutter
Music, Photography , Cover Design by Florian Schneider-Esleben & Ralf Hutter
(Side One)
A1. Klingklang - 17:36
A2. Atem - 2:57
(Side Two)
B1. Strom - 3:52
B2. Spule 4 - 5:20
B3. Wellenlange - 9:40
B4. Harmonika - 3:17
[ Kraftwerk ]
Florian Schneider - flute, violin, guitar, electronics (mischpult > mixing console), bells (glocken)
Ralf Hutter - organ, electric piano, bass guitar, electronic drums (rhythmusmaschine), bells (glocken), accordion (harmonika)
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(Original Philips "Kraftwerk 2" Liner/Gatefold Inner Cover & Side One Label)
ノイ!のアルバムは専任ドラマーがメンバーだったから最初からスタイルの確立がしやすかったのですが、クラフトヴェルクはデビュー・アルバムでもゲスト・ドラマーを迎えただけで、ライヴ活動してみるとゲスト・ドラマーにサウンドの主導権を握られてしまったわけです。そこでセカンド・アルバムでは開発されたばかりのドラムマシーンを使用した音作りになりました。シュナイダーとヒュッターは初期3作では基本的にシュナイダーがフルート時々ヴァイオリン、ヒュッターがオルガン時々ギターなのですが、今回はライヴで再現するのは絶対無理そうなテープスピードの操作まで行って緩急をつけています。大曲A1がそれで、この時はライヴ演奏は考えずまずスタジオ制作で好きなように作ろうとしていた様子がA面2曲、B面2曲でライヴでもなぞれる曲想だったデビュー・アルバムから大きく変化した姿勢です。大曲A1がさまざまに曲想を変えていく曲とすればA2とB面の小曲はどれも楽器の音色操作から発想していったものと取れ、フルートがひゅーっと鳴る曲、ギターがびろーんと鳴る曲、リズムボックスがトコトコ鳴る曲、グロッケンがカンカン鳴る曲、ハーモニカがぷーっと鳴る曲といった具合で、それらがエフェクトと録音技術でいかに変調されているのかを聴くのが楽曲ごとのアイディアになっており、2度目に聴くとこれら小曲をひとつにぶちこんだのがA1の大曲だったのがわかる仕組みで、普通はバラバラにパーツを並べておいて最後に完成図を見せるのが時間芸術である音楽や演劇映画、小説やコミックスの常識だと思いますが、この『Kraftwerk 2』では最初にぐちゃぐちゃでよくわからない完成図を見せておいてからパーツをひとつひとつ抜き出して見せている構成です。しかも第4作『Autobahn』'74でシンセサイザーとシークエンサーの導入に成功した彼らはメンバーを二人増員し、同作のアメリカのアルバム・チャートのトップ10入りを機に全米・全欧ツアーを敢行し、本作はA1がすべてなのでライヴで再現すらしてしまいます。それには次作『Ralf und Florian』'73の成果が必要で、Ralf und Florian』こそが『Kraftwerk』『Kraftwerk 2』から『Autobahn』へのかけ橋となったアルバムです。まとめて廃盤にされているのでクラフトヴェルクの初期3作は何となく同じ傾向のサウンド・イメージがありますが、ミニマムなインプロヴィゼーションによるフリー・ロックのデビュー作と即興性より音色の配置と操作によって楽曲生成する手法を開発した第2作の本作では大きな違いがあり、さらに第3作ではあえて本作のドラムマシーンからシュナイダーとヒュッター自身がシンプルなドラムスを叩いてドラムマシーンと併用することでリズムパターンの上での音色コラージュで後はシンセサイザーとシークエンサーの導入さえあればテクノポップ、という瀬戸際にまで迫ります。次回ではその生演奏楽器によるテクノポップ作品をご紹介します。