Recorded at Variety Recording Studios, Chicago in October 29, 1972.
Released by El Saturn Records SR-538, 1973 / SQ Quadraphonic LP.
Discipline Series. From Secrets Of The Sun, Volume II.
Produced by Alton Abraham, Ihnfinity Inc.
Cover Artwork by LeRoy Butler
All written & arranged by Sun Ra.
(Side A)
A1. Pan Afro - 8:02
A2. Discipline 8 - 7:56
A3. Neptune - 5:47
(Side B)
B1. Discipline 27-II
Part.A)
Part.B)
Part.C)
Part.D) - 24:29
[ Sun Ra and his Astro Intergalactic Infinity Arkestra ]
Sun Ra - electronic keyboard, Space Age Instruments, Moog synthesizers, Vocal Dramatizing
Akh Tal Ebah - trumpet, flugelhorn, vocals
Lamont Kwamie Mc Clamb - trumpet, percussion
Danny Davis, Marshall Allen - alto saxophone, flute
John Gilmore - tenor saxophone, percussion, vocals
Danny Thompson - baritone saxophone, flute
Pat Patrick - baritone saxophone, bass
Eloe Omoe - bass clarinet, flute
Alzo Wright, Harry Richards, Lex Humphries, Robert Underwood - drums
Russell Branch, Stanley Morgan - percussion, congas
Cheryl Banks, Judith Holton, June Tyson, Ruth Wright - Space Etnic voices
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(Original Alternate El Saturn "Discipline 27-II" LP Front Cover & Liner Cover)
本作『Discipline 27-II』は名作『Space Is The Place』につながる作風のもので、サターンには珍しくしっかりしたジャケット・アート(初回盤から表は色違い、サン・ラの詩が掲載された裏ジャケットはまったくデザインが異なる版が発売されたようです)、サターン盤にはめったにない録音年月日と録音地の明記からして、本来はインパルス!からのリリースを予定して制作されたものかもしれません。『Astro Black』の後『Cymbals』と『Crystal Spears』のリリースが滞ったため、1965年のアルバムで自信作『Secrets Of The Sun』(録音1962年)の続編という位置づけでサターンから発売してしまったのではないでしょうか。
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(Original El Saturn "Discipline 27-II" LP Liner Cover & Side A/B Label)
強烈なのはオーネットのアルバムは通常小編成、ピアノやオルガン等キーボード系楽器を排除してスカスカの空間を作っているのに較べ、アーケストラにはオーネット級の管楽器奏者が4人~6人ひしめき合っていることで、しかも本作のサン・ラの各種キーボード演奏はどういうことになっているやら。サン・ラがビ・バップ以降の後輩ピアニストで唯一逆影響を受けたのはセロニアス・モンクで、モンクから出発して独自のスタイルを確立したピアニストにセシル・テイラーがいますが、本作のサン・ラのプレイはモンクでもなければテイラーでもなくなんだか尋常でないことになっています。幼児が初めて与えられたトイ・ピアノで遊んでいるようなイノセンスすら感じられ、10年も前の旧作『Secrets Of The Sun』との連続性といい(同作はサン・ラ初の先駆的ジャズ・ファンク作品でした)、この頃サン・ラが連作のコンセプトにしていた「Discipline」(修練)をスロッビング・グリッスルや80年代の再結成キング・クリムゾンが借りた関連性といい(これは70年代初頭にベストセラーだった2000ページの大冊自己啓発書『The Urantia Book』に由来し、シュトックハウゼンの大作『Lichit』やクラウス・シュルツェの『Irrlichit』への直接影響も指摘されるので、影響はサン・ラ経由とは限りませんが)、サン・ラのアルバムは何を聴いても面白いですが、ノリノリでわかりやすいインパクトでは本作はお薦めできるアルバムです。B面がパートA~Dに分けてある必然性がまったくないのもサン・ラのユーモア感覚でしょうか。