アメリカ映画の監督の中でマッケリーは戦前の日本ではキング・ヴィダーに次ぐ名匠としてフォードやスタンバーグ、ワイラーと並ぶ人気が映画人(監督、批評家)、観客ともにあり、戦前にはイギリス時代の作品が3本公開されただけだったヒッチコックやギャング映画のイメージが強かったウォルシュやホークスより評価が高かったのが昭和初期からの日本の映画人の著書を読むと知られます。国民性というのもあるかもしれませんが、アベル・ガンスやマルセル・レルビエ、ルネ・クレールやデュヴィヴィエなどフランスの映画監督なども本国での人気よりも諸外国での人気の方が長期に渡って高かったらしく、自国の映画ほど旬を過ぎると忘れられるのが早かったのは戦前すでによくある現象だったようです。マッケリーの場合は作品のブランクがちょうど作品の少なかった太平洋戦争の5年間と重なったので日本未公開の作品がほとんど生じずに済みました。数少ない戦時中の作品で日本未公開に終わったのがマッケリーには珍しい反ナチ映画『恋の情報網』で、終戦の前年の作品でアカデミー賞を大量に獲得してマッケリー最大のヒット作になり、日本でもいち早く敗戦の翌年に公開されたのが一世一代の代表作とも言える『我が道を往く』です。『我が道を往く』の翌年には続編『聖メリーの鐘』が公開され、この2作がマッケリーのキャリアのピークになりました。映画監督では空前絶後の全米長者番付第1位になったのはこの時期で、時代の寵児とも言えたマッケリーは、戦後には急激に過去の人になってしまいます。なぜそうなったか、というのも『恋の情報網』と『我が道を往く』をじっくり観直すと見えてくるような気がします。今回でマッケリー編はお終いですが、7作しか取り上げられなかったのが残念です。あとせめて『人生は四十二から』『明日は来らず』『聖メリーの鐘』『善人サム』『めぐり逢い』あたりは観直したかった心残りがありますが、いずれまた未見の作品ともども観直す機会があればご紹介したいと思います。
●9月21日(木)
『恋の情報網』Once Upon a Honeymoon (RKO'42)*115min, B/W; アカデミー賞録音賞ノミネート。
日本未公開・DVD発売(アイ・ヴィー・シー)
ラブロマンス
[ 解説 ] ジンジャー・ロジャースとケイリー・グラント共演によるラブコメディ。オーストリアの男爵との結婚を控えるアメリカ人・ケイティの下に、ある日ひとりのジャーナリストが現れ……。監督は『我が道を往く』のレオ・マッケリー。1938年、ナチスの支配下にあったウイーンで、アメリカ娘のキャサリン(ジンジャー・ロジャース)はオーストリアのフォンルバー男爵(ウォルター・スレザック)と結婚する事になっていた。一方、彼がヒトラーと組んでいる事を知った新聞記者パット(ケイリー・グラント)は彼女から情報を聞き出そうと彼女に接近し、彼女が結婚した後でもそれは続いた。やがて男爵の悪行を感じだすと共に、キャサリンはパットが好きになっていき……。
(アイ・ヴィー・シーDVD内容紹介より)
[ 内容紹介 ] ジンジャー・ロジャース×ケイリー・グラント! 戦乱のヨーロッパを駆けめぐる知られざる愛の大戦争! ミュージカルの女王とヒットラーの側近貴族が結婚した。 さあ大変、ドイツの世界征服を助ける一大事だ。米社交界の粋なニュースキャスターが彼女に接近して夫婦仲をぶち壊そうとする。陰謀に巻き込まれて危機また危機のコミック風、シチュエーションを変えて8つの国を飛びまわり、ユダヤ人強制収容所で抹殺されかけた彼女を救え!才気みなぎる恋のダイアログがマシンガンのように飛び出す、のちのスピルバーグ・アクションのお手本になったハイ・スピードのロマンティック・コメディ。スーパースター街道まっしぐら、人気絶頂の軽妙なグラントと『恋愛手帖』でアカデミー賞を受けた直後のロジャースが、つぎの『我が道を往く』で作品賞と監督賞に輝く巨匠マッケリーとトリオを組んだ。
(「Oricon」データベースより)
[ 内容 ] 戦時下の欧州に飛んだラジオ通信員と、人妻の恋を描いたラブコメディ。サスペンス風味も織り交ぜられた娯楽作。ジンジャー・ロジャース、リー・グラントほか出演。
●9月22日(金)
『我が道を往く』Going My Way (パラマウント'44)*126min, B/W; アカデミー賞撮影賞(ライオネル・リンドン)、編集賞(ルロイ・ストーン)ノミネート、作品賞・主演男優賞(ビング・クロスビー、バリー・フィッツジェラルド)、助演男優賞(バリー・フィッツジェラルド)、監督賞レオ・マッケリー・脚色賞(フランク・バトラー・フランク・キャヴェット)、原案賞(レオ・マッケリー)、歌曲賞(ジミー・ヴァン・ヒューゼン作曲/ジョニー・バーク作詞『星にスイング』Swinging on a Star)受賞、ニューヨーク批評家協会賞作品賞・男優賞(バリー・フィッツジェラルド)・監督賞(レオ・マッケリー)受賞、ゴールデン・グローブ賞作品賞・助演男優賞(バリー・フィッツジェラルド)受賞、アメリカ国立フィルム登録簿2004年新規登録作品。
日本公開昭和21年10月
パラマウント映画製作/セントラル・フィルム・エキスチェンジ配給
[ 解説 ] 1945年度のアカデミー賞獲得作品である。「明日は来らず」の監督たるレオ・マッケリーが原作、監督を担当、フランク・バトラーとフランク・キャヴェットとが共同で脚色したもので、撮影監督は新人ライオネル・リンドンである。主演はパ社の音楽映画でおなじみのビング・クロスビーで、彼はこの映画でアカデミー演技賞を与えられたそうである。彼の相手役は未封切の「チョコレートの兵隊」でネルソン・エディーの相手をしたメトロポリタン・オペラの新進スター、リーゼ・スティーヴンスで、その他にバリー・フィツジェラルド、フランク・マクヒュー、ジーン・ロックハート、ジーン・ヘザー、ポーター・ホール等が共演する。映画の中で唄われる歌はジミー・ヴァン・ヒューゼン作曲、ジョニー・パーク作詞の"Going My Way"、"Swing on a Star"、"The Day After Forever"の他に、グノーの「アヴェ・マリア」、カルメンの「ハバネラ」、「アデステ・フイデレス」「静かなる夜、聖なる夜」及びジェイ・アール・シャノン作曲作詞になる"Too-Ra-Loo-Ra-Loo-Ral Ral That's an Irsh Lullaby"等がある。
[ あらすじ ] ニューヨークの西49丁目の人気の悪い町にあるセント・ドミニック教会のフィッツギボン牧師(バリー・フィッツジェラルド)の許へ、運動と音楽の好きな若いチャック・オマリイ(ビング・クロスビー)が副牧師として赴任してきた。オマリイは最初色々と失敗をして、信徒の評判を悪くしたが彼の親切は次第に人々の信頼を深めるようになった。彼はまず金棒引きのクインプ夫人(アニタ・シャープ=ボルスター)が家主(ジーン・ロックハート)ともめ事を起した時そを円滑に解決させトニー・スカボニ(スタンリー・クレメンツ)とハーマン・ランガーハンク(カール・"アルファルファ"スウィッツァー)が事件を起こした時には叱責する代わりに彼らの仲間一同を野球見物に招待し、彼らを従来のギャングから、教会専属の素人劇団に育て上げた。キャロール・ジェームズ(ジーン・ヘザー)という家出娘には旅費を与えて帰郷させた。近所の悪童たちはオマリイの指導で合唱隊に組織された。フィッツギボン牧師は僧正がオマリイを牧師に昇進させたいと望んでいることを悟り、オマリイを後任者に推薦して雨の中へ姿を消したが、やがて牧師は疲れ切って教会へ帰って来た。オマリイは牧師を寝室に寝かせ、アイルランドの子守唄を唄ってきかせる。ある晩オマリイは合唱隊の少年たちを芝居へ連れて行った帰り途で、幼なじみで田舎出のオペラ女優ジュヌヴイエーヴ・リンデン(リーゼ・スティーヴンス)に逢う。リンデンは今やメトロポリタン劇場で「カルメン」の主役を勤めているのである。次の日オマリイはキャロール・ジェームズに再会し彼女が家主の息子テッド・ヘインズ(ジェームズ・ブラウン)と結婚したことを知る。教会は財政が苦しかった。オマリイの親友オドード牧師(フランク・マクヒュー)とジュヌヴイエーヴとは援助しようと申し出、オマリイ牧師の作曲を買い、ジュヌヴイエーヴ合唱隊を全国巡業に連れ出した。そのお蔭で教会は担保流れになることを免れたが、オマリイとフィッツギボン牧師が心祝いの宴を張っている最中、出火によって教会は全焼してしまう。オマリイは落胆せずバラックを建てて新教会建設の計画を進める。クリスマスの前夜、ジェニー・リンデンと合唱隊が帰って来た。テッド・ヘインズは飛行隊の中尉となり、愛妻キャロールを伴って出席する。フィッツギボン牧師の40年間会わなかった老母(アデライン・デ・ウォルト・レイノルズ)がアイルランドから訪ねて来る。「アヴェ・マリア」の合唱が感激をもって唄われる。オマリイは他の貧乏教会に行くことになり、オドードがフィッツギボン牧師の新しい助手となり、ジェニー・リンデンは彼女の巡業公演に出発するのであった。
●9月21日(木)
『恋の情報網』Once Upon a Honeymoon (RKO'42)*115min, B/W; アカデミー賞録音賞ノミネート。
日本未公開・DVD発売(アイ・ヴィー・シー)
ラブロマンス
[ 解説 ] ジンジャー・ロジャースとケイリー・グラント共演によるラブコメディ。オーストリアの男爵との結婚を控えるアメリカ人・ケイティの下に、ある日ひとりのジャーナリストが現れ……。監督は『我が道を往く』のレオ・マッケリー。1938年、ナチスの支配下にあったウイーンで、アメリカ娘のキャサリン(ジンジャー・ロジャース)はオーストリアのフォンルバー男爵(ウォルター・スレザック)と結婚する事になっていた。一方、彼がヒトラーと組んでいる事を知った新聞記者パット(ケイリー・グラント)は彼女から情報を聞き出そうと彼女に接近し、彼女が結婚した後でもそれは続いた。やがて男爵の悪行を感じだすと共に、キャサリンはパットが好きになっていき……。
(アイ・ヴィー・シーDVD内容紹介より)
[ 内容紹介 ] ジンジャー・ロジャース×ケイリー・グラント! 戦乱のヨーロッパを駆けめぐる知られざる愛の大戦争! ミュージカルの女王とヒットラーの側近貴族が結婚した。 さあ大変、ドイツの世界征服を助ける一大事だ。米社交界の粋なニュースキャスターが彼女に接近して夫婦仲をぶち壊そうとする。陰謀に巻き込まれて危機また危機のコミック風、シチュエーションを変えて8つの国を飛びまわり、ユダヤ人強制収容所で抹殺されかけた彼女を救え!才気みなぎる恋のダイアログがマシンガンのように飛び出す、のちのスピルバーグ・アクションのお手本になったハイ・スピードのロマンティック・コメディ。スーパースター街道まっしぐら、人気絶頂の軽妙なグラントと『恋愛手帖』でアカデミー賞を受けた直後のロジャースが、つぎの『我が道を往く』で作品賞と監督賞に輝く巨匠マッケリーとトリオを組んだ。
(「Oricon」データベースより)
[ 内容 ] 戦時下の欧州に飛んだラジオ通信員と、人妻の恋を描いたラブコメディ。サスペンス風味も織り交ぜられた娯楽作。ジンジャー・ロジャース、リー・グラントほか出演。
●9月22日(金)
『我が道を往く』Going My Way (パラマウント'44)*126min, B/W; アカデミー賞撮影賞(ライオネル・リンドン)、編集賞(ルロイ・ストーン)ノミネート、作品賞・主演男優賞(ビング・クロスビー、バリー・フィッツジェラルド)、助演男優賞(バリー・フィッツジェラルド)、監督賞レオ・マッケリー・脚色賞(フランク・バトラー・フランク・キャヴェット)、原案賞(レオ・マッケリー)、歌曲賞(ジミー・ヴァン・ヒューゼン作曲/ジョニー・バーク作詞『星にスイング』Swinging on a Star)受賞、ニューヨーク批評家協会賞作品賞・男優賞(バリー・フィッツジェラルド)・監督賞(レオ・マッケリー)受賞、ゴールデン・グローブ賞作品賞・助演男優賞(バリー・フィッツジェラルド)受賞、アメリカ国立フィルム登録簿2004年新規登録作品。
日本公開昭和21年10月
パラマウント映画製作/セントラル・フィルム・エキスチェンジ配給
[ 解説 ] 1945年度のアカデミー賞獲得作品である。「明日は来らず」の監督たるレオ・マッケリーが原作、監督を担当、フランク・バトラーとフランク・キャヴェットとが共同で脚色したもので、撮影監督は新人ライオネル・リンドンである。主演はパ社の音楽映画でおなじみのビング・クロスビーで、彼はこの映画でアカデミー演技賞を与えられたそうである。彼の相手役は未封切の「チョコレートの兵隊」でネルソン・エディーの相手をしたメトロポリタン・オペラの新進スター、リーゼ・スティーヴンスで、その他にバリー・フィツジェラルド、フランク・マクヒュー、ジーン・ロックハート、ジーン・ヘザー、ポーター・ホール等が共演する。映画の中で唄われる歌はジミー・ヴァン・ヒューゼン作曲、ジョニー・パーク作詞の"Going My Way"、"Swing on a Star"、"The Day After Forever"の他に、グノーの「アヴェ・マリア」、カルメンの「ハバネラ」、「アデステ・フイデレス」「静かなる夜、聖なる夜」及びジェイ・アール・シャノン作曲作詞になる"Too-Ra-Loo-Ra-Loo-Ral Ral That's an Irsh Lullaby"等がある。
[ あらすじ ] ニューヨークの西49丁目の人気の悪い町にあるセント・ドミニック教会のフィッツギボン牧師(バリー・フィッツジェラルド)の許へ、運動と音楽の好きな若いチャック・オマリイ(ビング・クロスビー)が副牧師として赴任してきた。オマリイは最初色々と失敗をして、信徒の評判を悪くしたが彼の親切は次第に人々の信頼を深めるようになった。彼はまず金棒引きのクインプ夫人(アニタ・シャープ=ボルスター)が家主(ジーン・ロックハート)ともめ事を起した時そを円滑に解決させトニー・スカボニ(スタンリー・クレメンツ)とハーマン・ランガーハンク(カール・"アルファルファ"スウィッツァー)が事件を起こした時には叱責する代わりに彼らの仲間一同を野球見物に招待し、彼らを従来のギャングから、教会専属の素人劇団に育て上げた。キャロール・ジェームズ(ジーン・ヘザー)という家出娘には旅費を与えて帰郷させた。近所の悪童たちはオマリイの指導で合唱隊に組織された。フィッツギボン牧師は僧正がオマリイを牧師に昇進させたいと望んでいることを悟り、オマリイを後任者に推薦して雨の中へ姿を消したが、やがて牧師は疲れ切って教会へ帰って来た。オマリイは牧師を寝室に寝かせ、アイルランドの子守唄を唄ってきかせる。ある晩オマリイは合唱隊の少年たちを芝居へ連れて行った帰り途で、幼なじみで田舎出のオペラ女優ジュヌヴイエーヴ・リンデン(リーゼ・スティーヴンス)に逢う。リンデンは今やメトロポリタン劇場で「カルメン」の主役を勤めているのである。次の日オマリイはキャロール・ジェームズに再会し彼女が家主の息子テッド・ヘインズ(ジェームズ・ブラウン)と結婚したことを知る。教会は財政が苦しかった。オマリイの親友オドード牧師(フランク・マクヒュー)とジュヌヴイエーヴとは援助しようと申し出、オマリイ牧師の作曲を買い、ジュヌヴイエーヴ合唱隊を全国巡業に連れ出した。そのお蔭で教会は担保流れになることを免れたが、オマリイとフィッツギボン牧師が心祝いの宴を張っている最中、出火によって教会は全焼してしまう。オマリイは落胆せずバラックを建てて新教会建設の計画を進める。クリスマスの前夜、ジェニー・リンデンと合唱隊が帰って来た。テッド・ヘインズは飛行隊の中尉となり、愛妻キャロールを伴って出席する。フィッツギボン牧師の40年間会わなかった老母(アデライン・デ・ウォルト・レイノルズ)がアイルランドから訪ねて来る。「アヴェ・マリア」の合唱が感激をもって唄われる。オマリイは他の貧乏教会に行くことになり、オドードがフィッツギボン牧師の新しい助手となり、ジェニー・リンデンは彼女の巡業公演に出発するのであった。