ヴェルヴェット・アンダーグラウンド The Velvet Underground - シスター・レイ Sister Ray (Sweet Sister Ray) (Apr.30, 1968) : https://youtu.be/MFaOyQbDTKs - 39:25
Recorded live at La Cave, Cleveland, Ohio in April 30, 1968
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ヴェルヴェット・アンダーグラウンド The Velvet Underground - シスター・レイ Sister Ray (Dec.12, 1968) : https://youtu.be/iWItNmGinhs - 26:11
Recorded live at The Boston Tea Party, Boston, Philadelphia in December 12, 1968
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ヴェルヴェット・アンダーグラウンド The Velvet Underground - シスター・レイ Sister Ray (Jan.10, 1969) : https://youtu.be/k1AoGA6ynJs - 21:08
Recorded live at The Boston Tea Party, Boston, Philadelphia in January 10, 1969
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ヴェルヴェット・アンダーグラウンド The Velvet Underground - シスター・レイ Sister Ray (Mar.13, 1969) : https://youtu.be/VEM1wayCOjI - 25:55
Recorded live at The Boston Tea Party, Boston, Philadelphia in March 13, 1968
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ヴェルヴェット・アンダーグラウンド The Velvet Underground - シスター・レイ Sister Ray (Oct.19, 1969) : https://youtu.be/cmVO-EgtphI - 17:50
Recorded live at The End of Cole Ave., Dallas, Texas in October 19, 1969
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ヴェルヴェット・アンダーグラウンド The Velvet Underground - シスター・レイ Sister Ray (Dec.03, 1969) : https://youtu.be/_RPCI2H1sV4 - 36:53
Recorded live at The Matrix, San Francisco, California in December 03, 1969
[ The Velvet Underground ]
"Sister Ray" written by Lou Reed, John Cale, Sterling Morrison and Maureen Tucker
Lou Reed - vocal, lead guitar, ostrich guitar
Sterling Morrison - rhythm guitar, lead guitar
John Cale - organ, effects (Apr.30, 1968 only)
Doug Yule - organ, effects (ex. Apr.30, 1968)
Maureen Tucker - drums, percussion
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(Original Verve "White Light / White Heat" LP Front Cover)
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「Sister Ray」はデビュー・アルバム『The Velvet Underground And Nico』1967.3に続くセカンド・アルバム『White Light / White Heat』のB面最後を飾る曲で、スタジオ録音にして17分にも及ぶヴェルヴェット最長の演奏時間のレパートリーです。アルバム・デビュー前のライヴ録音を聴くとミニマムなモチーフからくり広げられて30分~1時間にも及ぶインストルメンタル中心のインプロヴィゼーション演奏(当時はゲスト女性シンガーのニコが在籍していたので、歌詞のないヴォーカリゼーションを多少含む)も行われていましたが、デビュー・アルバム発表時にはすでにニコはバンドを離れており、また早くも1967年初頭には「Sister Ray」がライヴで演奏されてそれまでのインプロヴィゼーション曲に代わる位置を占めていたようです。スタジオ・ヴァージョンでもこの曲は17分間の演奏時間中、ヴォーカル・パートは冒頭と最後に少しあるだけで、大半はオスティナート(リズム・リフ)に乗って展開されるインプロヴィゼーションで占められています。演奏はどんどん曲の原型から離れて拍子の拍節も消滅し、元来の調性から離れるばかりかほぼノイズ状態になり、トーキング・スタイルのヴォーカルが戻っても楽曲らしい演奏には戻らずに混沌としたまま終わります。また、この曲はベース、エレクトリック・ヴィオラ、ピアノなどマルチ・プレイヤーのジョン・ケイルがオルガンに廻り、デビュー・アルバムの名曲「Heroin」同様ベースレスの2ギター、オルガン、ドラムス編成(「Heroin」でのケイルはエレクトリック・ヴィオラ)になります。本来はアルバムのスタジオ・ヴァージョンをまずご紹介したいのですが、ポリドールを中心に旧来のメジャー・レーベルが統合した現UMG(Universal Music Group)音源はサイト上のガードが固く、肝心なアルバムからのオリジナル・ヴァージョンがご紹介できないのをご容赦ください。
今回集めてみた1968年~1969年のライヴ・ヴァージョンでスタジオ・ヴァージョンに近い演奏はDec.12, 1968、Jan.10, 1969あたりになります。オリジナル・メンバーのジョン・ケイル在籍時のライヴ・ヴァージョンでも1967年にはスタジオ・ヴァージョンと近い演奏をしているのですが(UMGによってリンク使用不可)、Apr.30, 1968では思い切りテンポを落とした39分を越える演奏を披露しており、これはオリジナル・ヴァージョンからかなり大胆に演奏フォーマットを改変していることから「Sweet Sister Ray」ヴァージョンと呼ばれています。ジョン・ケイルは1968年9月に脱退してダグ・ユールが加入しますが、ユールがベースからオルガンに廻るDec.12, 1968、Jan.10, 1969、Mar.13, 1969ではオリジナルのスタジオ・ヴァージョンに基づいたテンポ、リズム・リフによって演奏されています。ユールのオルガン演奏はケイルに較べてオーソドックスな分、リードとモリソンの強烈な2ギター・アンサンブルが目立ち、特にMar.13, 1969のライヴ音源は観客がルー・リードのギター・アンプの上にテープレコーダーを載せて録音した、という伝説から「(Legendary) Guitar Amp Tapes」と呼ばれる、歪んだギターがたっぷり聴ける音源として人気の高いものです。ユール加入から1年を越えたOct.19, 1969、Dec.03, 1969になると再びケイル在籍時の「Sweet Sister Ray」ヴァージョンに戻った演奏が聴かれ、この2つのヴァージョンもそれぞれ持ち味が異なり、Oct.19, 1969ヴァージョンの妖しいムード、Dec.03, 1969のアーシーなムードと一聴大差ないようで意外なほど表現力の幅の広いヴェルヴェットの実力を感じさせる演奏です。一般的にヴェルヴェットのようなバンドは演奏の力量を語られることはあまりありませんが、技術の基準が的確な表現力と自発的な独創性の達成度にあるならばヴェルヴェットの演奏はその条件を軽々満たしており、これら「Sister Ray」のさまざまなライヴ・ヴァージョンを聴いてもヴェルヴェットはシンプルな4人編成のロック・バンドで表現可能な演奏として、1968年にも2017年にも価値の変わらない優れた達成を示していると言っていいでしょう。今なおヴェルヴェットが生んだ音楽と同種の音楽を試みているバンドは無数にいるのです。たとえば「Sister Ray」はアルバム『White Light / White Heat』が廃盤だった時代にもパンク・ロックの系譜に連なるバンドのライヴ・レパートリーとして演奏され続けられています。
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Joy Division - Sister Ray (Apr.2, 1980) : https://youtu.be/QN5Tn5eZH68 - 7:39
Recorded live at The Moonlight Club, London in April 2, 1980 (from Factory Album "Still" 1981)
Recorded live at La Cave, Cleveland, Ohio in April 30, 1968
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ヴェルヴェット・アンダーグラウンド The Velvet Underground - シスター・レイ Sister Ray (Dec.12, 1968) : https://youtu.be/iWItNmGinhs - 26:11
Recorded live at The Boston Tea Party, Boston, Philadelphia in December 12, 1968
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ヴェルヴェット・アンダーグラウンド The Velvet Underground - シスター・レイ Sister Ray (Jan.10, 1969) : https://youtu.be/k1AoGA6ynJs - 21:08
Recorded live at The Boston Tea Party, Boston, Philadelphia in January 10, 1969
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ヴェルヴェット・アンダーグラウンド The Velvet Underground - シスター・レイ Sister Ray (Mar.13, 1969) : https://youtu.be/VEM1wayCOjI - 25:55
Recorded live at The Boston Tea Party, Boston, Philadelphia in March 13, 1968
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ヴェルヴェット・アンダーグラウンド The Velvet Underground - シスター・レイ Sister Ray (Oct.19, 1969) : https://youtu.be/cmVO-EgtphI - 17:50
Recorded live at The End of Cole Ave., Dallas, Texas in October 19, 1969
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ヴェルヴェット・アンダーグラウンド The Velvet Underground - シスター・レイ Sister Ray (Dec.03, 1969) : https://youtu.be/_RPCI2H1sV4 - 36:53
Recorded live at The Matrix, San Francisco, California in December 03, 1969
[ The Velvet Underground ]
"Sister Ray" written by Lou Reed, John Cale, Sterling Morrison and Maureen Tucker
Lou Reed - vocal, lead guitar, ostrich guitar
Sterling Morrison - rhythm guitar, lead guitar
John Cale - organ, effects (Apr.30, 1968 only)
Doug Yule - organ, effects (ex. Apr.30, 1968)
Maureen Tucker - drums, percussion
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(Original Verve "White Light / White Heat" LP Front Cover)
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「Sister Ray」はデビュー・アルバム『The Velvet Underground And Nico』1967.3に続くセカンド・アルバム『White Light / White Heat』のB面最後を飾る曲で、スタジオ録音にして17分にも及ぶヴェルヴェット最長の演奏時間のレパートリーです。アルバム・デビュー前のライヴ録音を聴くとミニマムなモチーフからくり広げられて30分~1時間にも及ぶインストルメンタル中心のインプロヴィゼーション演奏(当時はゲスト女性シンガーのニコが在籍していたので、歌詞のないヴォーカリゼーションを多少含む)も行われていましたが、デビュー・アルバム発表時にはすでにニコはバンドを離れており、また早くも1967年初頭には「Sister Ray」がライヴで演奏されてそれまでのインプロヴィゼーション曲に代わる位置を占めていたようです。スタジオ・ヴァージョンでもこの曲は17分間の演奏時間中、ヴォーカル・パートは冒頭と最後に少しあるだけで、大半はオスティナート(リズム・リフ)に乗って展開されるインプロヴィゼーションで占められています。演奏はどんどん曲の原型から離れて拍子の拍節も消滅し、元来の調性から離れるばかりかほぼノイズ状態になり、トーキング・スタイルのヴォーカルが戻っても楽曲らしい演奏には戻らずに混沌としたまま終わります。また、この曲はベース、エレクトリック・ヴィオラ、ピアノなどマルチ・プレイヤーのジョン・ケイルがオルガンに廻り、デビュー・アルバムの名曲「Heroin」同様ベースレスの2ギター、オルガン、ドラムス編成(「Heroin」でのケイルはエレクトリック・ヴィオラ)になります。本来はアルバムのスタジオ・ヴァージョンをまずご紹介したいのですが、ポリドールを中心に旧来のメジャー・レーベルが統合した現UMG(Universal Music Group)音源はサイト上のガードが固く、肝心なアルバムからのオリジナル・ヴァージョンがご紹介できないのをご容赦ください。
今回集めてみた1968年~1969年のライヴ・ヴァージョンでスタジオ・ヴァージョンに近い演奏はDec.12, 1968、Jan.10, 1969あたりになります。オリジナル・メンバーのジョン・ケイル在籍時のライヴ・ヴァージョンでも1967年にはスタジオ・ヴァージョンと近い演奏をしているのですが(UMGによってリンク使用不可)、Apr.30, 1968では思い切りテンポを落とした39分を越える演奏を披露しており、これはオリジナル・ヴァージョンからかなり大胆に演奏フォーマットを改変していることから「Sweet Sister Ray」ヴァージョンと呼ばれています。ジョン・ケイルは1968年9月に脱退してダグ・ユールが加入しますが、ユールがベースからオルガンに廻るDec.12, 1968、Jan.10, 1969、Mar.13, 1969ではオリジナルのスタジオ・ヴァージョンに基づいたテンポ、リズム・リフによって演奏されています。ユールのオルガン演奏はケイルに較べてオーソドックスな分、リードとモリソンの強烈な2ギター・アンサンブルが目立ち、特にMar.13, 1969のライヴ音源は観客がルー・リードのギター・アンプの上にテープレコーダーを載せて録音した、という伝説から「(Legendary) Guitar Amp Tapes」と呼ばれる、歪んだギターがたっぷり聴ける音源として人気の高いものです。ユール加入から1年を越えたOct.19, 1969、Dec.03, 1969になると再びケイル在籍時の「Sweet Sister Ray」ヴァージョンに戻った演奏が聴かれ、この2つのヴァージョンもそれぞれ持ち味が異なり、Oct.19, 1969ヴァージョンの妖しいムード、Dec.03, 1969のアーシーなムードと一聴大差ないようで意外なほど表現力の幅の広いヴェルヴェットの実力を感じさせる演奏です。一般的にヴェルヴェットのようなバンドは演奏の力量を語られることはあまりありませんが、技術の基準が的確な表現力と自発的な独創性の達成度にあるならばヴェルヴェットの演奏はその条件を軽々満たしており、これら「Sister Ray」のさまざまなライヴ・ヴァージョンを聴いてもヴェルヴェットはシンプルな4人編成のロック・バンドで表現可能な演奏として、1968年にも2017年にも価値の変わらない優れた達成を示していると言っていいでしょう。今なおヴェルヴェットが生んだ音楽と同種の音楽を試みているバンドは無数にいるのです。たとえば「Sister Ray」はアルバム『White Light / White Heat』が廃盤だった時代にもパンク・ロックの系譜に連なるバンドのライヴ・レパートリーとして演奏され続けられています。
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Joy Division - Sister Ray (Apr.2, 1980) : https://youtu.be/QN5Tn5eZH68 - 7:39
Recorded live at The Moonlight Club, London in April 2, 1980 (from Factory Album "Still" 1981)