「イングマール・ベルイマンは1918年、宮廷礼拝堂付司祭の息子としてスウェーデンの古都ウサプラに生まれた。ストックホルム王立劇場の演出担当を経た後1944年映画界入りし、45年に第1回監督作品『危機』を発表して以来『不良少女モニカ』『道化師の夜』『第七の封印』『野いちご』『処女の泉』『沈黙』等の名作を次々に発表、現在世界三大監督の一人として高く評価されている」というのが日本で初めて刊行されたベルイマンに関する単行本『ベルイマンの世界』(ジャック・シクリエ、浅沼圭司訳、昭和43年=1968年竹内書店刊/フランス版原著増補版1966年、初版1960年)のカヴァー袖のベルイマン紹介文です。学生時代から旺盛に自作戯曲を書き演出していたベルイマンはスウェーデン有数の映画会社スヴェンスク・フィルムインダストリー(略称SF社)に入社し、まず脚本家として認められました。ベルイマン生涯の全長編劇映画は引退作『ファニーとアレクサンデル』'82まで40作、それ以降の単発的2作の全42作になりますが、最初に取り上げるべきはベルイマン脚本初の映画化作品で助監督も兼ねたアルフ・シューベルイ監督の『もだえ』になります。本作がカンヌ国際映画祭グランプリの「国民賞」部門を受賞したことで国際映画賞総なめ監督ベルイマンのキャリアは始まりました。それにしても、1968年の時点でベルイマンが「世界三大監督の一人」(あとの二人は黒澤明とフェデリコ・フェリーニ)と呼ばれるようになっていたとは不思議な気がします。特に集めていたつもりはなかったのですが、最近気づいたらベルイマンのほぼ全作品が手元にそろっていたのでこの際年代順に観直してみることにしました(劇映画3作、長編ドキュメンタリー2作はどうしても映像ソフトが探し出せず、動画サイトで観ることになりました)。引退声明時の'80年代にはもっとも華々しく、沒後は順当に存在感の薄れつつあるベルイマンですが、かつて一世を風靡した名高い作品群、埋もれた作品群を観直してどう感じるのか興味深いところです。
●7月1日(土)
アルフ・シェーベルイ(イングマール・ベルイマン脚本・助監督)『もだえ』Hets (スウェーデン/スヴェンスク・フィルム'44)*101min, B/W, Standard
●7月2日(日)
『危機』Kris (スウェーデン/スヴェンスク・フィルム'46)*93min, B/W, Standard
●7月3日(月)
『われらの恋に雨が降る』Det regnar pa var karlek (スウェーデン/マルムステット・プロ'46)*95min, B/W, Standard
●7月1日(土)
アルフ・シェーベルイ(イングマール・ベルイマン脚本・助監督)『もだえ』Hets (スウェーデン/スヴェンスク・フィルム'44)*101min, B/W, Standard
●7月2日(日)
『危機』Kris (スウェーデン/スヴェンスク・フィルム'46)*93min, B/W, Standard
●7月3日(月)
『われらの恋に雨が降る』Det regnar pa var karlek (スウェーデン/マルムステット・プロ'46)*95min, B/W, Standard