かなり前、NHKの「ためしてガッテン」で水出し麦茶の味をを煮出した麦茶のコクに変える方法、というのをやっていた。麦茶の話だからたぶん夏放映の話題だったのだろうと思う。解答はというと、1リットルの冷蔵用ボトルに対して小匙半分のインスタントコーヒーを溶かす。これだけで煮出した麦茶にはあり水出し麦茶にはないカフェイン分がコクのある味に変わるらしい(試していないが)。
また、かつて社会人をやっていた頃まで本当にそれをしている人は知らず、何かの冗談だと思っていたが、生まれも育ちも三代以上続く生粋の東京人は本当にカレーライスにソースをかける。これは高田馬場周辺のカウンター式大衆向けカレー屋(決して本格的インドカレーとかではない)には必ずソースがカウンターに乗って入るのでもわかる。もちろん東京人、というか江戸っ子の末裔はカレーにソースは悪食だとはまったく思っていない。
偏食の例をひとつ。サナトリウム(と言えば聞こえはいいが、早い話精神病院)でカレーが好物なのにニンジンだけは皿の端に寄り分けて残す奴がいた。それもあんまりだと思うが、1フロア約30人のほとんどが納豆が出ると手もつけなかったのには驚いた。入院では満遍ない食事も積極的な治療の一環だろう。好みでは普段絶対に食べないものも出されれば食べる。温泉玉子も桜でんぶもオカラも入院食で我慢して完食した。しかし口のおごった連中は納豆のパックに触れさえすらしないのだ。ちなみに東京都と神奈川県の県境の病院のことだから、30人中納豆を食べた患者が6、7人というのは文化圏上の食分布としてもおかしい。まあおかしくなっているから精神病院に入院しているのだが、仮に彼らがたまたま納豆が苦手なだけとしても、入院生活の食環境から逃げているな、と感じた。別にこれはさほど重視するほどではないかもしれない。しかし彼らはたぶんカレーにソースはかけないし、ましてやガーリック粉末炒めのスパゲッティにソースを混ぜたミートソースをかけはするまいと思うのだ。