今回のキューブリック作品第4作~第6作は3作ともまるで毛色の異なる題材と仕上がりでそれぞれヒット、大ヒット、興行成績不振と幅があり、結果的にキューブリックがメジャー商業映画界の中で異例のインディペントな製作環境を勝ち取る契機になった作品群です。第7作『博士の異常な愛情』'64と第8作『2001年宇宙の旅』'68でキューブリックは巨匠の名を不動にしますが、今回の『突撃』『スパルタカス』『ロリータ』はもっとも微妙な進路がかかっていた時期で、さらに商業映画監督としてハリウッドの職人監督に進むか、思い切ってインディペント映画に戻るか、商業映画監督として個性派としての地位を開拓するかはまだ決まっていませんでした。キューブリックはそれらのどれでもあるようでどれか一つとは言えない独自の立場の映画監督になったので、他のハリウッド映画の監督たちと同じ足場で商業映画に取り組んでいた第3作『現金に体を張れ』~今回の第6作『ロリータ』までの時期はキューブリックにとっても必要な通過点にして二度と戻れない職人監督時代でした。なお前回からもデータとして転載している日本公開年月日、配給会社、上映日数、観客動員数、興行収入、興行成績、配給コピーは『フルメタル・ジャケット』公開(昭和63年=1988年3月18日封切り)に合わせて刊行された昭和63年(1988年)4月刊の「月刊イメージフォーラム増刊号」『キューブリック』(ダゲレオ出版)に拠りました(当時日本未公開の第1作『恐怖と欲望』、最新作『フルメタル・ジャケット』、1999年の遺作『アイズ ワイド シャット』は除きます)。
●6月21日(水)
『突撃』Paths of Glory (米ユナイテッド・アーティスツ'57)*88min, B/W, Standard
●6月22日(木)
スパルタカス』Spartacus (米ユニヴァーサル'60)*197min, Technicolor, Super Technirama 70
●6月23日(金)
『ロリータ』Lolita (英MGM'62)*154min, B/W, Widescreen
●6月21日(水)
『突撃』Paths of Glory (米ユナイテッド・アーティスツ'57)*88min, B/W, Standard
●6月22日(木)
スパルタカス』Spartacus (米ユニヴァーサル'60)*197min, Technicolor, Super Technirama 70
●6月23日(金)
『ロリータ』Lolita (英MGM'62)*154min, B/W, Widescreen