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Recorded in rehearsals, various Club, Chicago, either 1958 or 1959.
Originally released in a blank sleeve under the title "The Lady With The Golden Stockings" by El Saturn Records (1966), the album had gained its current title, and sleeve by 1969 (LP-406).The record was reissued by Impulse! in 1974 (AS-9242), and on CD by Evidence in 1993 with the album "Angels and Demons at Play".
All songs were written and arranged by Sun Ra.
(Side A)
A1. Plutonian Nights - 4:22
A2. The Golden Lady (Originally 1966 titled "The Lady with the Golden Stockings") - 7:41
A3. Star Time - 4:18
(Side B)
B1. Nubia - 8:14
B2. Africa - 5:06
B3. Watusa - 2:36
B4. Aethiopia - 7:12
[ Sun Ra and his Myth Science Arkestra ]
Sun Ra - piano, Wurlitzer electric piano
Lucious Randolph - trumpet
Nate Pryor - trombone
James Spaulding - alto saxophone
Marshall Allen - alto saxophone
John Gilmore - tenor saxophone, percussion
Pat Patrick - baritone saxophone, percussion
Charles Davis - baritone saxophone
Ronnie Boykins - bass
Robert Barry - drums
Jim Herndon - percussion
On "Watusa", William Fielder replaced Lucious Randolph on trumpet.
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(Original El Saturn/Saturn Research "The Nubians of Plutonia" LP Liner Cover & Side A Label)
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このアルバムの好評は1974年にメジャーのMCAレコード傘下のインパルス・レーベルからサン・ラのエル・サターン作品が復刻された時に含まれていることでも伺えます。インパルスからのサターン盤復刻中ではもっとも録音年代が古く、版権の関係で偶然そうなったにせよ、これに先立つサターン盤はインパルスから復刻されなかったので、メジャーのインパルスからの再発売によって本作はサン・ラの1950年代のアルバムでも知名度・評価ともに上位に数えられる作品になりました。録音年代順ではこのアルバムで初演されたオリジナル曲が全曲を占めるのも高い評価の所以になります。B面ではB3「Watusa」が突出した代表曲になり、国際的なライヴ・バンドとして名を馳せた1960年代後半~1970年代の最重要ステージ・レパートリーになりました。フランス最大のロック・バンド、マグマ(1970年デビュー)はバンド・コンセプトやステージ演出までサン・ラ・アーケストラの強い影響から出発したグループですが(土星音楽のサン・ラに対して、マグマは架空の惑星コバイア文明から生まれた音楽を標榜しました)、音楽的にオリジナリティを確立した第3作以前のマグマは音楽性でもサン・ラ・アーケストラに近い面がありました。アーケストラのライヴ音源で「Watusa」のパワーアップしたヴァージョンを聴くと、ジャズ・ロック色の強かった初期マグマそのものに聴こえます。
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(Reissued Impulse! "The Nubians of Plutonia" LP Front Cover & Liner Cover)
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サン・ラがカリスマ的人気を獲得したのは、まさにアーケストラの音楽によって黒人文化優位主義を宣言した点にあり、ジャズ界ではすでに文化的ステイタスを確立した黒人ミュージシャンはいましたし、1950年代~1960年代にはモータウンやスタックスのアーティストたちがおり、さらにマイルス・デイヴィスも賞賛を惜しまなかったジェームス・ブラウンがいました。だがサン・ラはアメリカ規模でも地球規模でもなく、宇宙規模のスケールで音楽を創造していると宣言して、宗教的ではないにせよ一種の思想的教祖になったのです。その活動は純粋に音楽家としての領域に限定していたにもかかわらず、音楽自体が宇宙的ヴィジョンから生まれたものという主張を押し通しました。サン・ラの音楽自体がジャズ全体の主流からも、一般的な黒人ジャズからも一枚の扉を隔てたようなものだったのが「Nubia」以降のB面4曲には強烈に表れています。エレクトリック・ピアノ、ベース、ドラムス、パーカッション、ナイジェリア製チャイムによる「Nubia」からほとんどメドレーで続くヴォーカル・コーラスとフルート、パーカッションをフィーチャーした「Africa」の2曲にはすでにアーケストラ1960年代以降のフリージャズ・スタイルの原型があり、ピアノの力強いリフから始まる「Watusa」はこのアルバムでの初演は2分半強とテーマ・アンサンブルの提示にとどまりますが、1960年代末のジャズ・ロックや1970年代のアフロ・ビートの先駆をなす画期的な楽曲でした。アルバムを締めくくる「Aiethopia」は「Africa」のヴォーカル・コーラスを抜いて、ホーンによるオーケストレーションに置き換えたヴァージョンで、楽曲として完成されているのは「Africa」よりこちらでしょう。再演される場合もヴォーカル・コーラス曲「Africa」ではなく「Aiethopia」から発展させた「Ancient Aiethopia」としてレパートリーに残っていくことになります。このアルバムは傑作ですが、いわゆる4ビート・ジャズはA1とA3しかないためうかつにお薦めできないアルバムでもあり、面白い音楽かというと面白さもかなりわかりづらいポイントに設定されているのは否めません。ですがひと度本作の魅力に気づけば、一気にサン・ラの音楽的発想の核心に触れることができる重要作たる意義を失うことはなさそうです。