Sun Ra - Omniverse (Saturn, 1979) Full Album : http://www.youtube.com/playlist?list=PLC6DF01F297E3021A
Recorded probably at West End Cafe or Variety Studios, New York, September 13, 1979.
Released by El Saturn Records Saturn 91379, 1979
All Composed and arranged by Sun Ra
(Side A)
A1. The Place of Five Points (Sun Ra) - 6:12
A2. West End Side of Magic City (Sun Ra) - 9:40
A3. Dark Lights in a White Forest (Sun Ra) - 4:23
(Side B)
B1. Omniverse (Sun Ra) - 8:50
B2. Visitant of the Ninth Ultimate (Sun Ra) - 11:01
[ Sun Ra and his Arkestra ]
Sun Ra - piano
Michael Ray - trumpet
Marshall Allen - alto saxophone
John Gilmore - tenor saxophone
Danny Ray Thompson - baritone saxophone
Richard Williams - bass
Luqman Ali (Edward Skinner) - drums
*
(Original El Saturn "Omniverse" LP Alternate Front Covers)
本作はまたもサン・ラがアコースティック・ピアノに徹したストレートなメインストリーム・ジャズ作品ですが、クレジットには疑問があります。まず録音がライヴ収録となっていますが、どう聴いてもスタジオ録音で、全5曲が新曲なのもスタジオ録音の裏づけになるでしょう。またA1、A2、B1はピアノ・トリオにテナーのジョン・ギルモアをフィーチャーしたワンホーン・カルテットであり、A3はピアノ・トリオだけの演奏です。クレジットでは4ホーン&ピアノ・トリオの7人編成なのにどうなっているのかと思うと、アルバムの最終曲でようやく4ホーン編成の演奏が登場します。レコード番号の91379から1979年9月13日録音と位置づけられているのですが、カルテット、トリオ、セプテットと3通りの編成が収録されているとなると本当に1日だけの録音かどうか。同日にアルバム2枚分の録音が行われたとしたら7人集めた手間もかけるでしょうが、9月13日は録音日ではなくリリース日だとして本作と同時録音らしいアルバムは見当たりません。
内容は素晴らしいのひと言で、アーケストラとしては異例の小編成作品ですが名人の一筆書きの生の味わいがあります。前作のトリオ・アルバムに続いてメインストリームのジャズ・リスナーを唸らせる渋い演奏で、それこそ60年代ブルー・ノートから出ていてもおかしくない、もし無名ジャズマンのアルバムなら幻の名盤扱いされて中古レコード店の壁を飾りそうな逸品です。ジャズ喫茶やジャズの中古盤専門店でかかろうものならお客さんが一斉にジャケットを凝視して、何だあの怪しい自主制作盤みたいなのは、とどよめきが起きること必至でしょう。このわかりやすいかっこよさはアルバムの半分をギルモアのワンホーン・カルテットが占めていることにもあり、ギルモアはアーケストラで唯一ブルー・ノートからアルバムを出したことのあるメンバーですが(チャールズ・ミンガスやマックス・ローチのバンドのテナー奏者、クリフォード・ジョーダンとの共演アルバム)、テクニカルなバップ・テナーの側面を抑えてブルージーなソウル・テナー的に武骨な演奏で迫ります。ピアノ・トリオ曲も優れた演奏ですが、伝統的なアーケストラらしいのはやはりフル・メンバー(とはいえ7人)で4ホーンがフリー・ブローイングをくり広げるB2でしょう。ジャズらしいサン・ラから入りたいリスナーには格好のアルバムですが、本作はあまりに多いアーケストラ作品にすっかり埋もれてほとんど忘れられた無念の一作でもあります。捨て駒のような作品がこのレベルなのがサン・ラの恐ろしさでもあるのです。
Recorded probably at West End Cafe or Variety Studios, New York, September 13, 1979.
Released by El Saturn Records Saturn 91379, 1979
All Composed and arranged by Sun Ra
(Side A)
A1. The Place of Five Points (Sun Ra) - 6:12
A2. West End Side of Magic City (Sun Ra) - 9:40
A3. Dark Lights in a White Forest (Sun Ra) - 4:23
(Side B)
B1. Omniverse (Sun Ra) - 8:50
B2. Visitant of the Ninth Ultimate (Sun Ra) - 11:01
[ Sun Ra and his Arkestra ]
Sun Ra - piano
Michael Ray - trumpet
Marshall Allen - alto saxophone
John Gilmore - tenor saxophone
Danny Ray Thompson - baritone saxophone
Richard Williams - bass
Luqman Ali (Edward Skinner) - drums
*
(Original El Saturn "Omniverse" LP Alternate Front Covers)
本作はまたもサン・ラがアコースティック・ピアノに徹したストレートなメインストリーム・ジャズ作品ですが、クレジットには疑問があります。まず録音がライヴ収録となっていますが、どう聴いてもスタジオ録音で、全5曲が新曲なのもスタジオ録音の裏づけになるでしょう。またA1、A2、B1はピアノ・トリオにテナーのジョン・ギルモアをフィーチャーしたワンホーン・カルテットであり、A3はピアノ・トリオだけの演奏です。クレジットでは4ホーン&ピアノ・トリオの7人編成なのにどうなっているのかと思うと、アルバムの最終曲でようやく4ホーン編成の演奏が登場します。レコード番号の91379から1979年9月13日録音と位置づけられているのですが、カルテット、トリオ、セプテットと3通りの編成が収録されているとなると本当に1日だけの録音かどうか。同日にアルバム2枚分の録音が行われたとしたら7人集めた手間もかけるでしょうが、9月13日は録音日ではなくリリース日だとして本作と同時録音らしいアルバムは見当たりません。
内容は素晴らしいのひと言で、アーケストラとしては異例の小編成作品ですが名人の一筆書きの生の味わいがあります。前作のトリオ・アルバムに続いてメインストリームのジャズ・リスナーを唸らせる渋い演奏で、それこそ60年代ブルー・ノートから出ていてもおかしくない、もし無名ジャズマンのアルバムなら幻の名盤扱いされて中古レコード店の壁を飾りそうな逸品です。ジャズ喫茶やジャズの中古盤専門店でかかろうものならお客さんが一斉にジャケットを凝視して、何だあの怪しい自主制作盤みたいなのは、とどよめきが起きること必至でしょう。このわかりやすいかっこよさはアルバムの半分をギルモアのワンホーン・カルテットが占めていることにもあり、ギルモアはアーケストラで唯一ブルー・ノートからアルバムを出したことのあるメンバーですが(チャールズ・ミンガスやマックス・ローチのバンドのテナー奏者、クリフォード・ジョーダンとの共演アルバム)、テクニカルなバップ・テナーの側面を抑えてブルージーなソウル・テナー的に武骨な演奏で迫ります。ピアノ・トリオ曲も優れた演奏ですが、伝統的なアーケストラらしいのはやはりフル・メンバー(とはいえ7人)で4ホーンがフリー・ブローイングをくり広げるB2でしょう。ジャズらしいサン・ラから入りたいリスナーには格好のアルバムですが、本作はあまりに多いアーケストラ作品にすっかり埋もれてほとんど忘れられた無念の一作でもあります。捨て駒のような作品がこのレベルなのがサン・ラの恐ろしさでもあるのです。