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カウント・ファイヴ Count Five - サイコティック・リアクション Psycotic Reaction (Double Shot, 1966)

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カウント・ファイヴ Count Five - サイコティック・リアクション Psychotic Reaction (Double Shot, 1966) Full Album : http://youtu.be/7kqDCHjix_c
Recorded in Hollywood, California, January 1965 and September 1966
Released by Double Shot Records LP-DSS-5001, October 1966
(Side A)
A1. Double-Decker Bus (J.Byrne) - 2:01
A2. Pretty Big Mouth (Atkinson, Byrne, Michalski, Ellner, Chaney) - 2:09
A3. The World (J.Byrne) - 2:12
A4. My Generation (P.Townshend) - 3:06
A5. She's Fine (J.Byrne) - 2:12
(Side B)
B1(6). Psychotic Reaction (Atkinson, Byrne, Michalski, Ellner, Chaney) - 3:06 *US#5(Billboard)
B2(7). Peace Of Mind (Byrne, Michalski, Chaney) - 2:19
B3(8). They're Gonna Get You (J.Byrne) - 2:29
B4(9). The Morning After (J.Byrne) - 1:58
B5(10). Can't Get Your Loving (J.Byrne) - 1:45
B6(11). Out In The Streets (P.Townshend) - 2:26
(Bonus Tracks)
12. You Must Believe Me (C.Mayfield) - 3:01
13. Teeny Bopper Teeny Bopper (Atkinson, Byrne, Michalski, Ellner, Chaney) - 2:25
Tracks 12 & 13 originally released as (US) Double Shot DSM 110, 1967.
14. Merry-Go-Round (J.Byrne) - 2:39
15. Contrast (J.Byrne) - 3:55
Tracks 14 & 15 originally released as (US) Double Shot DSM 115, 1967.
16. Declaration Of Independence (Atkinson, Byrne, Michalski, Ellner, Chaney) - 2:25
17. Revelation In Slow Motion (P.Briley) - 2:00
Tracks 16 & 17 originally released as (US) Double Shot DSM 125, 1968.
18. Mailman (Winn, Rodgers) - 2:25
Track 18 originally released as single A-Side (US) Double Shot DSM 141, 1969.
19. Move It Up (J.Byrne) - 2:46
20. So Much (J.Byrne) - 2:07
21. Enchanted Flowers (J.Byrne) - 1:52
Tracks 19 to 21: Out-takes, recorded 1966.
22. People Hear What I Say (Michalski, Ellner, Chaney) - 2:38
Track 22: Out-take, recorded 1967.
23. Contrast (J.Byrne) - 3:53
Track 23: Demo version, recorded 1967.
24. Psychotic Reaction (Atkinson, Byrne, Michalski, Ellner, Chaney) - 3:11
25. They're Gonna Get You (J.Byrne) - 2:40
Tracks 24 & 25: unedited versions, recorded 1966.
Tracks 19 to 25 first released on single A-Side (UK) Big Beat CDWIKD 230, 2003.
26. Teeny Bopper, Teeny Bopper (Atkinson, Byrne, Michalski, Ellner, Chaney) - 2:26
27. Contrast (J.Byrne) - 3:56
Tracks 26 & 27: Alternate stereo mixes, recorded 1967.
28. Mailman (Winn, Rodgers) - 2:36
Track 28: Alternate stereo mix, recorded 1968.
Tracks 26 to 28 first released on (D) Repertoire REP 4242, 1993
[ Count Five ]
Kenn Ellner - lead vocals, tambourine, harmonica
John "Mouse" Michalski - lead guitar
John "Sean" Byrne - rhythm guitar, vocals
Craig "Butch" Atkinson - drums
Roy Chaney - fender bass

 カウント・ファイヴはカリフォルニア州サン・ノゼの学生たちが1965年に結成したバンドで、学校はバラバラでしたがロックンロールのダンスパーティーなどでいつの間にか友人になっていたようです。レコード会社や業界人の仕掛けではなく純粋に友人の集まった自然発生的バンドも珍しくはありませんが、それらはたいがいヒット曲は出せない中で、カウント・ファイヴは1966年9月にビルボード全米チャート最高位5位のヒット曲をものしました。それがメンバー5人全員合作の「Psychotic Reaction」で、ヤードバーズによるボ・ディドリーのカヴァー・ヴァージョンの「I'm A Man」を下敷きにした改作です。シングルのリリースは6月でしたからチャート最高位に達するまで3か月かかりましたが、ちょうどアルバムのリリース直前の特大ヒットでした。地元の弱小インディー・レーベルにとっては大変なことだったでしょう。1966年10月リリースのアルバム『Psychotic Reaction』はザ・ディープの『Psychedelic Sounds of The Deep』と同月、業界紙の記録では1966年11月リリースながら実際は10月中には市場に出回ったらしいブルース・マグース(Blues Magoos)の『Psychedelic Lollipop』、ザ・13thフロア・エレヴェーターズの『Psychedelic Sounds of The 13th Floor Elevators』の4作がタイトルにサイコまたはサイケを使ったアルバムの嚆矢になるそうで、カウント・ファイヴは西海岸サン・ノゼ、ザ・ディープはフィラデルフィア、マグースはブルックリン、エレヴェーターズはテキサスですから全米各地でサイケを名乗るプロト・パンク=ガレージ・パンク・バンドが活動していたのです。
 カウント・ファイヴのアルバムの裏ジャケットにはドラキュラ伯爵(=カウント)風黒マントを全員が羽織った写真やメンバー紹介文がありますが、全員18歳か19歳で在学中の学校名も書いてあります。カウントはこのアルバムの後1967年に2枚、1968年に2枚の計4枚・8曲のアルバム未収録シングルを出しましたが結局本作が唯一のアルバムになりました。一応1990年代に『Psychotic Reaction, Again!』という再結成ライヴがあるようですが、「Psychotic Reaction」のヒットが大きいのに学生バンドではツアーもできず、レコード会社も次々アルバム制作できるほどの資本もなく、細々とシングルを出しているうちに自然消滅した格好のようです。しかし「Psychotic Reaction」1曲は60年代ロック名曲の定番としてコンピレーション・アルバムに何度も収録され、ラジオ・オンエアもされ続けました。アルバム『Psychotic Reaction』も一度も廃盤にならなかったのです。筆者がLPを買ったのも、1987年だったかトム・ヴァーレイン(ex.テレヴィジョン)の初来日公演でアンコールにいきなり「Psychotic Reaction」を演奏したのです。1949年生まれのヴァーレインがレコード・デビューしたのは1977年でしたが、生まれ年はカウントのメンバーの2、3歳年下でしかないので、ロックの原体験がガレージ・パンク/ガレージ・サイケなのでしょう。
(Original Double Shot "Psychotic Reaction" LP Liner Cover & Side A Label)

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 トム・ヴァーレインのテレヴィジョンも味のある下手なバンドでしたが、それはカウント・ファイヴも同様でした。「Psychotic Reaction」は曲、演奏ともに文句なしにこのバンドのベストでしょう。全11中ザ・フーのカヴァー2曲(A4, B6)以外の9曲がバンド自身のオリジナル曲でサイド・ギターのショーン単独または共作なのは、カヴァー曲、外部ライター曲などバンドの自作曲にこだわらなかった60年代ガレージ・バンド(日本のGSとの共通点でもあります)には珍しい才能です。ただしカウントのオリジナル曲の水準は高いとは言いがたく、トム・ヴァーレインとは比較になりません。またテレヴィジョンのようなアラサーデビューのバンドは下手なりに安定感があるのに較べ、カウントは出来の良い演奏はとても良いのに全体の水準は安定しているとは言えないものでした。ベーシストはなかなかの力量があり、バンド全体のリズムの基準になっています。バンドをやろうと決めてからみんなで楽器を始めたような演奏力ながらそれなりに全体的なまとまりがあり、平凡な曲が大半ながらそこそこ曲の体をなしているのは、メンバーがロック好きの友人の集まりで目指す方向に統一があるからでしょう。「Psychotic Reaction」はセンス一発の芸風が見事な成果を生んだので、このレヴェルでアルバムを作るにはバンドはまだまだ力不足でした。先に上げた1966年10月アルバム・デビューのサイケ・バンドでもアルバム1枚に終わったのはカウント・ファイヴだけです。
 一方全米トップ10ヒット、しかも5位まで記録したのもカウント・ファイヴだけで、1966年秋にはまだガレージ・パンク/サイケデリック・ロックは最先端でアンダーグラウンドなムーヴメントでした。その突破口を開いたのがまだ未成年の現役大学生バンドで、同じようなバンドが全米にうようよいたのですから、1967年には有象無象のバンドがインディー、メジャー問わず大量にデビューのチャンスを与えられる先陣を切って見せた功績があります。残念ながらカウントは一発屋の域を出ないバンドでしたが、一発屋ですらないバンドも多いのです。カウント・ファイヴは1967年デビューのエレクトリック・プリューンズ、チョコレート・ウォッチ・バンド、ザ・リッターのようにプロデューサーに作られたバンド(正確には学生バンドがスカウトされ、プロデューサーの意図するバンドに変えられた)ではありませんでした。メンバーの家の車庫(ガレージ)をスタジオ代わりにジャンジャカ練習して身内や学内のパーティーで演奏する素人バンドのままレコーディングされ、アルバム・デビューしたコンテスト・バンドのような存在で、デビュー・アルバムからほとんど事実上プロデューサー不在でバンド自身がイニシアチヴを握ったのは当時稀有なことでした。プロデューサーがついていたら全11曲中カヴァー2曲・オリジナル9曲など許されず、8割方がカヴァーと専業ソングライターのポップ曲にされていたでしょう。カウントもデビュー・アルバム以後4枚のシングルはカヴァーか外部ライターの曲を演奏することになってしまいます。アルバム全曲で「Psychotic Reaction」の水準の曲と演奏ができるまでデビューを急ぐべきではなかったか。しかし先にシングルがチャートを上昇しつつあったわけで、これを好事魔多しとでも言うのでしょうか。

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