Quantcast
Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3141

Elmo Hope Trio & Sextet 1961-1966 (Various, 1961-1966)

$
0
0

Elmo Hope Trio - High Hope! / Here's Hope! ; The Beacon & Celebrity Trio Recordings (Beacon/Celebrity, 1961-1962)
Recorded Date and Place Unknown (ca.1961, New York)

イメージ 1

Elmo Hope Trio - High Hope! (Beacon, 1961)
1. Mo's Bluff (Elmo Hope) : https://youtu.be/jfQsWq8oLaM - 4:19
2. Crazy (Race for Space) (E.Hope) : https://youtu.be/KaT0sfakGTI - 4:15

イメージ 2

Elmo Hope Trio - Here's Hope! (Celebrity, 1962)
1.De-Dah (E.Hope) : https://youtu.be/CPkK8c-BN0Y - 4:26
2. Stars Over Marakesh (E.Hope) : https://youtu.be/-Q2amsyJVTk - 6:44
[ Personnel ]
Elmo Hope - piano
Edward Warren (High Hope!), Paul Chambers (Here's Hope!) - bass
Granville Hogan (High Hope!), Philly Joe Jones (Here's Hope) - drums
*

イメージ 3

Elmo Hope Sextet and Trio - Homecoming! (Riverside, 1961)
Recorded at Bell Sound Studio, New York, June 22(Sextet), June 29(Trio), 1961
1. Moe, Jr. (Elmo Hope) : https://youtu.be/eazKblvFAV8 - 5:56
2. A Kiss For My Love (E.Hope) : https://youtu.be/VQfy1V_T1-A - 5:33
3. Elmo's Fire (Homecoming) (E.Hope) : https://youtu.be/0a89QaiVf4E - 5:15
[ Personnel ]
Elmo Hope - piano
Blue Mitchell - trumpet (1,2)
Frank Foster, Jimmy Heath - tenor saxophone (1,2)
Percy Heath - bass
Philly Joe Jones - drums
*

イメージ 4

Elmo Hope - Sounds from Rikers Island (Audio Fidelity, 1963)
Recorded at Riker's Island, New York, August 19, 1963
1. It Shouldn't Happen To a Dream* (Duke Ellington, Don George, Johnny Hodges) : https://youtu.be/A5eVJhP5epw - 4:07
2. Kevin(De-Dah) (Elmo Hope) : https://youtu.be/sDwmeV1gNV4 - 4:15
3. Monique (E.Hope) : https://youtu.be/thgbWevvtGQ - 3:02
4. Groovin High** (Dizzy Gillespie) : https://youtu.be/553rQE_h7tU - 2:59
[ Personnel ]
Elmo Hope - piano
Lawrence Jackson - trumpet (1,4)
Freddie Douglas - soprano saxophone (1,4)
John Gilmore - tenor saxophone (except 2)
Ronnie Boykins - bass
Philly Joe Jones - drums
Earl Coleman*, Marcelle Daniels** - vocals
*

イメージ 5

Elmo Hope Trio - Trio Featuring Philly Joe Jones/The Final Sessins (Specialty, 1977)
Recorded at New York, March 8, 1966
1. Elmo's Blues (Elmo Hope) : https://youtu.be/g7ckBcHet8c - 10:42
[ Personnel ]
Elmo Hope - piano
John Ore - bass
Philly Joe Jones - drums

 1953年の初アルバムから1959年の第5作までのエルモ・ホープ(ピアノ/1924~1967)は前回までの2回でたどった。リストにすると、
New Faces New Sounds: Elmo Hope Trio (Blue Note, 1953.6)
New Faces New Sounds: Elmo Hope Quintet, Vol.2 (Blue Note, 1954.5)
Meditations (Prestige, 1955.7)
Hope Meets Foster (Prestige, 1955.10)
Informal Jazz (Prestige, 1956.5)
Elmo Hope Trio (Hi-Fi Jazz, 1959.2)
 で、これでセッションマンやライヴの仕事もほとんどなかったのだからレコード収入だけで生活していけるはずもない。なのでカクタスのラスティ・デイのように(デイはあげくにトラブルで殺害されたが)、仕事はないが顔は広いのにマフィアに目をつけられて末端の密売人になった。それが原因でニューヨークを追われてロサンゼルスで実力はあるのに売れない、実力もあるのに売れないカーティス・カウンス(ベース)グループ、カウンスとメンバーが半分重なるハロルド・ランド(テナーサックス)クインテットで微妙に重宝されるが、つまりホープの作曲とアレンジのアイディアは素晴らしいと歓迎された。だがピアノ・プレイは何だかパッとしない。実はこれはホープにセッションマンの口がかからなかった原因で、自分がリーダーのセッションでなければまったく委縮してしまうのが(自分がリーダーの時でさえも、たとえば『Hope Meets Foster』『Informal Jazz』など)がホープ生涯の弱点だった。ホープが他人のアルバムで積極的な良い演奏をしているのはクリフォード・ブラウンの『Memorial Album』1953、ルー・ドナルドソンの『Quartet/Quintet/Sextet』1954、ハロルド・ランドの『The Fox』1959くらいではないか。だがこれらは半数の曲をホープが提供し、実質準リーダーとして関わったようなアルバムだった。

 ホープが1961年春にニューヨークに新夫人と新生児を連れて戻ってから1967年に薬物の過剰摂取で急逝するまで(ホープと同学年生まれ、幼なじみの天才ピアニスト、バド・パウエルが精神疾患から拒食症に陥り、栄養失調で逝去したのは前年、1966年だった)、残されたアルバムは以下のようになる。
Here's Hope! (Celebrity, 1961)
High Hope! (Beacon, 1961)
Homecoming! (Riverside, 1961.6)
Hope-Full (Riverside, 1961.11)
Sounds from Rikers Island (Audio Fidelity, 1963.8)
Elmo Hope Featuring Philly Joe Jones/The Final Sessins (Specialty, 1966.3&5)
 このうち『Here's Hope!』『High Hope!』はどちらも30分に満たないピアノ・トリオ作品で、レーベルのビーコンとセレブレティは同じオーナーによる、便宜上名義を変えてあるだけの同一レーベルだった。内容はブルー・ノートで1953年にトリオ、1954年にクインテットで初演したオリジナル曲の再演だが、このビーコン/セレブレティの2枚は併せて一組と見るべきだろう。素晴らしい出来で、渋いジャケットとも名盤の名に恥じない。ブルー・ノートへのトリオとクインテットはともに10インチLPだったのでCDでは1枚にまとめられているが、ブルー・ノート盤とハイ・ファイ・ジャズ盤(コンテンポラリー盤)の『Elmo Hope Trio』、そしてビーコン/セレブレティ録音はホープの傑作で、輝かしいオリジナル曲が最良のピアノ・トリオ・アレンジで聴ける。ソニー・クラークのタイム盤『Sonny Clarke Trio』1960を思い出させる硬質なタッチはホープの全アルバムでも飛び抜けている。ホープのアルバムは肝心なものに限って入手困難で悲しいが、この2枚のカップリングはフレッシュ・サウンド・レーベルからの『Elmo Hope Plays His Own Compositions』ならまだ入手できるかもしれない。

 リヴァーサイドは才能があるのに録音に恵まれないジャズマンと多く契約し、その最大の成功がセロニアス・モンクであり、ビル・エヴァンスであり、キャノンボール・アダレイであり、ウェス・モンゴメリーだった。次いでユゼフ・ラティーフといったところだが、どのアーティストも本格的な成功の見込みが立つとメジャー・レーベルに引き抜かれて行った。エルモ・ホープが契約したのもモンクやエヴァンスらがレーベルを離れた時期で、とりあえずは2枚契約でセクステット3曲・トリオ4曲の『Homecoming!』と、夫人のバーサとのデュオ・ピアノ3曲を含むソロ・ピアノ作品『Hope-Full』を録音する。どちらも曲単位では良いのだがアルバムの構成や編成の不統一がまずい。前者はオリジナル6曲、うち4曲の新曲を含み、セクステットのアレンジはホープのアイディアを良く生かしているが、ピアノ・トリオになると雰囲気が一変してしまって統一感がない。
 リヴァーサイドからは結局この2枚だけで、ホープはニューヨークの有名な治療院兼拘置所、ライカーズ・アイランドのお世話になる。出所して、入所中仲良くなったジャズマン仲間と作ったのが『Sounds from Rikers Island』で、ロサンゼルスのジョー・パスに『Sounds of Cinnanon』というアルバムがあったが、向こうの人たちはちゃんと刑期を務めてくれば社会復帰は寛大らしい。このアルバムはドラムスはこんなとこまでフィリー・ジョーだし、サン・ラ・アーケストラのジョン・ギルモアとロニー・ボイキンスの参加、ウォルト・ディッカーソンのプロデュースで異色の名盤になった。ブルー・ノートのクインテット盤を除けばホープの管入り作品では最高のアルバムだが、ヴォーカル曲やスタンダードの選択などコンセプトの半分はサン・ラ出身者による感じもする。ホープのオリジナルは6曲、うち新曲は3曲で、ホープの管入りアルバムはこれが最後になった。

 出所して『Sounds from Rikers Island』を録音後のホープにはジャズの仕事がまったくなかったようで、ホープは40歳を迎えるところだったが、R&Bバンドのピアニストでデビューして15年、念願のメインストリームのジャズマンに転向して10年、同期の仲間たち(ホープの仲間たちはみんな一流ジャズマンになった)が次々と出世していく中、古い世代のピアニストとしてかえってキャリアが邪魔になっていたほどだった。バド・パウエルやレニー・トリスターノほど伝説的な名声もなく、セロニアス・モンクのように気がついてみれば巨匠と目されていたわけでもない。またハービー・ニコルスのように生前は徹底的にジャズ界から疎外され、それゆえ歿後20年を経てその完璧な独創性を認知されるようには、ホープは半端にジャズ界の人で、端的に言えば二流の人とされ続けた。そして晩年唯一のホープの録音はピアノ・トリオの、1966年3月8日に5曲、5月9日に9曲(+別テイク3曲)の通称『The Final Sessions』で、約120分、アルバム2枚分になる。全14曲中ガーシュインのスタンダード2曲とガレスピーの「チュニジアの夜」のカヴァー3曲はホープには初演で、オリジナル11曲中再演は3曲のみで8曲が新曲になる。モンク、パウエル、トリスターノも30代後半からはほとんど新曲を作っていないから、評価もされず仕事はなくてもせっせと新曲を作っていたホープがいじらしい。
 ベースは3月・5月ともジョン・オーでホープの『Meditations』1955で顔合わせ済みだが、オーは1960年~63年の4年間セロニアス・モンク・カルテットに在籍という一流ジャズマンになっていた。ドラムスは3月が旧友で腐れ縁のフィリー・ジョー、5月がサン・ラ・アーケストラの新進気鋭クリフォード・ジャーヴィスで、ジャーヴィスのドラムスは4ビートでもはっきりフリー・ジャズ世代の感覚がある。ホープは1967年にODのため急逝したが、版権を持っていたインディーズのスペシャリティがこの最終録音を発売したのは、録音11年後の1977年に『エルモ・ホープ・トリオ・フィーチャリング・フィリー・ジョー・ジョーンズ』として5曲だけ収めたLPで、しかも当初日本盤のみの発売だった。現在はCD2枚で分売されているが、モンクのラスト・レコーディングとも似ていて細かいことなど気にしない、ライヴ感溢れる演奏になっている。ブルー・ノート盤や『Meditations』『Elmo Hope Trio』、ビーコン/セレブレティ盤に並ぶホープの傑作に上げたいが(結局ピアノ・トリオ作品ばかりだが)、このラスト・レコーディングは最初に聴くとホープの作風を誤解するかもしれない。ホープのそれまでの代表的録音からは、もっと腺病質な感じを受ける演奏が本質だろうと思われる。
 それにしてもホープは引けるリンクが少なくて、過小評価を実感した。独創性や作品価値からすれば十分一流ジャズマンと言える人なのだが、活動が不遇だったため、誰からも広く認められるほどの実力相応の実績を残せなかったのだ。でも話題の現役ジャズマンの新作を聴くのと、エルモ・ホープのようなジャズマンを大切に、しみじみ味わって聴くのはどちらも大事なことだろう。もっと聴かれていいピアニストだと思うが、廃盤ばかりなんだものなあ。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 3141

Trending Articles