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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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最終回☆戦場のミッフィーちゃんと仲間たち(80)

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 最終回。
 自分にはまったく理解できないことが予期しないまま起こって、もはや決定的に以前と同じ境遇ではいられなくなってしまったのをマイメロディは感じ取っていました。そもそもマイメロは、何のために自分がここに差し向けられたのも要領を得ませんでしたし、秘密というものを理解することのできないマイメロディには極秘の任務を遂行するどころか、自分が探り出さなければならない秘密さえも最初から会得していなかったのです。ならばなぜハローキティの店からマイメロをミッフィーちゃんの店に潜入させたかと言えば、マイメロという双方にとってつつぬけの穴を通すことで信用できない情報がどちらからも漏洩し、結果的に情報の飽和によって攪乱されてしまうのならば現状では調子の良いミッフィーの店ならば振り回されることになり、逆に不景気なハローキティの店では何も変化しないよりは変化があった方がまし、という思惑からでした。ですが、マイメロは今やひとりぼっちで、探るべきミッフィーのお店とも、報告すべきハローキティの店とも無関係にたったひとりでからっぽのお店に座り込んでいました。ここはハローキティのお店のようでもあり。それは勘違いでやはりミッフィーのお店のままのようでもありました。どちらにしてもマイメロディの役割は終わったのです。
 カウンターの上には、ミッフィーの首とハローキティの首がきれいに並べて置いてありました。マイメロはすることもないので、入念にふたりの首人形を作り上げて、きれいな死化粧を施してあげました。化粧を施すごとに、ふたつの首は見分けがつかなくなっていきました。夜になると閃光弾が屋外の路上に降りそそぎ、大きく窓をとった店内には花火が照り映えているように見えました。もうお客さんが来ることはなさそうでした。休戦は終わったのです。今ここは再び正真正銘の戦地でした。マイメロは目をつぶればいつでも生まれ故郷のメルヘンランドに帰れましたから、急ぐ必要はありませんでした。もうお店はやっていません、という目印作りを最後の仕事にして、せっせと死化粧に磨きをかけていたのです。
 ぼくたち、チェブラーシカとわにのゲーナが次に来た時には、もう誰もお店にはいませんでした。ただ、カウンターの上に、ふたつの首だけが並んでいるだけでした。それは誰の首とも知れず、左耳に結ばれたリボン以外に、ふたつの首と首は見分けがつきませんでした。
 完。

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