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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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新☆戦場のミッフィーちゃんと仲間たち(42)

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 ボリスはくも男のボリスと呼ばれていました。くも男ボリスとはジョー・クールと同じくらい謎めいて、生麦生ゴミ生ミミィと同じくらい語呂が良いからでもありますが、ボリスはくもが糸の上を歩くように物音もたてず獲物に近づき、捕食することができるのです。もちろん捕食とは比喩的な意味で、ボリスは文明化されたくまでしたから(うさぎと同じ水準を文明化と呼べればですが)、この場合探偵・諜報活動ならうってつけというような意味合いでした。その上ボリスはくまのぶんざいで、くまにしては、くまにもかかわらず、くまのくせに地味な野郎だったのです。
 メラニーたちは月遅れの「ゼクシィ」を回し読みしていましたが、何かそれにはハローキティのお店に感じたのと同じ印象がありました。単純にその「ゼクシィ」がハローキティのお店のマガジンラックから盗んできたものだったからかもしれません。もちろん万引きは犯罪ですが、ハローキティの店のようなチャブ屋で置いてあった雑誌を持ってくるのは犯罪に当たるのでしょうか?チャブ屋ならばミッフィーたちのディヴィジョンだって同じです。チャブ屋Bにあった雑誌がチャブ屋Aに移動した、というだけのことにすぎません。そしてどちらのディヴィジョンも同じ戦地の施設なのですから、大きく戦地全体から見ても、また小さく雑誌自身の立場から見ても、あちらのお店にあったものがこちらのお店に来たところで役割的には何ら変わりないのです。
 私も見ていい?とウインが珍しく興味を示したので、メラニーは作り笑顔を浮かべながらどうぞ、と雑誌を手渡しました。しかし動作がぎこちなかったので手から手に渡されるあいだに雑誌のページがばさり、と開いてしまいました。挟まれていたらしい一枚の紙片がひらひらと床に落ちました。紙きれは、サングラスをかけ黄色い長袖のトレーナーを着て、歯を見せた笑顔を浮かべている、立ち姿の犬が写ったサービス判の写真でした。垂れた両耳はその犬がビーグル犬である素性を証していました。トレーナーの胸には黒い文字の楷書で、

J O E
C O O L
 
 と大書きされていました。うさぎたちに困惑の空気が流れました。どうやらこれはキャンパス・ボーイを気取った姿のようですが、水商売のお店に置かれた雑誌に挟みこむような写真ではありません。挟んだのは当然ナンパ目的の本人でしょう。何か勘違いしてるんだわ、とアギーは思いました。

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