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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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紅生姜について

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 先日ジャージャー麺の自作レシピと出来上がりを載せたが、その時は食べ始めてから紅生姜を添えれば良いのに気づき、紅生姜添えの画像は載せられなかった。今回のが紅生姜添えのジャージャー麺になる。紅生姜は合います。酢も合う。しかし酢をかけても写真ではわからないので、食べ始める時にかけた。麺が酢を吸収するので多少多めにかけても水っぽくはならない。紅生姜と酢が合う、というのはジャージャー麺のみならずビビン麺もそうで、やはり冷やし中華の仲間なのかもしれない。というか、冷やし中華は第二次世界大戦敗戦後の発明らしいので、ジャージャー麺やビビン麺の方が冷やし中華の先祖になるのだろう。
 もっとも、豚骨ラーメンやちゃんぽん、皿うどんにも紅生姜と酢は合うし、これらは温麺(皿うどんは常温だが)なので、いちがいに酢と紅生姜との相性からグループ化しても必ずしも同系統から発祥したものとは限らないが、ジャージャー麺もビビン麺も冷やし中華と同様、夏に好まれて食べられているという括りはある。冷やし中華ほど極端に夏に特化した料理ではないようだが。

 だが、こうして紅生姜を添えてみて思ったが、紅生姜とはなぜ赤く染めてあるのだろうか。もちろんこれはクチナシ色素などの食紅を用いて着色してあるので害はないが、着色することで栄養価や薬味としての成分効果が増すわけでもない。生姜そのものの色は、ごく淡い茶褐色というか、やや目の粗いベージュ色で、寿司のガリなどに用いられる時には染められはしないものだ。では、なぜ紅生姜は不自然にも鮮やかな赤に着目されているのか。
 これは色彩学、心理学、その他もろもろの切り口からこじつけることができるだろう。鍵はやはり赤という色彩の選択にあって、食紅にも紅だけではなく青や緑、黄色などさまざまな色があり、お菓子作りには多彩な色が用いられる。しかし紅生姜が赤ではなく青や緑などで染められていたらどうだろうか。やはり紅生姜は紅でなければならない、という感じが深い。

 紅、すなわち赤とは人間にとってもっとも視覚的に重要な色、と考えられる。世界にはさまざまな国旗があるが、赤を含まない国旗デザインを探す方が難しく、白地に赤いマークだけというデザインの国旗もあるらしい。印刷においても製版は赤(マゼンタ)、青(シアン)、黄(イエロー)、黒(ブラック)の4原色に分解されるが、黒はさておき色彩的には赤という色は特別に目を惹く色とされている。幼児のお絵描きに好きな色を選ばせれば、赤の使用頻度はもっとも高い。本能的に人間の色彩感覚は赤色に特別に強く反応する。これはあらゆる文化圏で共通のようで、普遍的な色彩感覚とすら言え、これほど古今東西・万国共通の現象はないだろう。
 女性の口紅は女性性器の模倣、という指摘がある。これは男性性器でも同じで、性においては赤は性的興奮を示すものとされる。だがこれらは心理学的な仮説であり、直接な性的刺戟と審美的感覚とは別に考えることもできる。どちらかといえば、性的指標としての赤色はもっと大きい括りの中の一部ではないか。つまり人間にとって赤色が特別なのは血液の色であり、それが食欲や性欲、また警戒色としての赤色という象徴色になっているのではないか。
 もっと詳しく検討すべきだし、これだけでは乱暴で、さらに紅生姜に話題を収斂させなければまとまりがないのだが、今回はここまで。酒場の屁理屈みたいで飽きてきてしまった。また回を改めて書きます。

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