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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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ピーナッツ畑でつかまえて(42)

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 スヌーピーはにやにやしながら後ろ手(前肢)を組み、腰を落としてチャーリーの周りを一周しました。正面まで戻ってきて立ち止まりウッシッシと笑うと、またチャーリーの周りを一周してウッシッシ笑いをし、またチャーリーの周りを一周と見せかけてチャーリーの真後ろで立ち止まり、右足(後肢)で飼い主の少年のおケツを思い切り蹴り上げました。
 痛たたった!何をするんだスヌーピー、いきなり蹴飛ばすなんてないじゃないか、とチャーリー・ブラウンはだらしなく前に倒れたまま、抗議というよりはボヤキの調子で呟きました。スヌーピーは相変わらず腕組みしながらせせら笑っているようにも見えますが、その本心はチャーリーからは理解し難いことで、飼い犬に手を噛まれるというのはこういうことか、とチャーリーは苦々しく考えていました。
 スヌーピーは相変わらずにやにやしていましたが、先ほどからの様子を見るといつ攻撃に転じてくるかもわからず、ひょっとしたらこれは佯狂なのかもしれないぞ、と思いながら、ならばなぜスヌーピーはそんな芝居じみたことを仕掛けてくるのだろうか、と思いました。もとよりこのビーグル犬は施設から引き取ってきた時から猫かぶりで、可憐なまなざしで、もらってくれなきゃ来月にはハンバーガーの材料にされちゃうんだよう、とチャーリーとライナスに訴えかけているようでした。
 ライナス!そうです今チャーリーの記憶の中ではライナスは新聞の動物愛護記事を見てチャーリーが相談をもちかけいいんじゃないかなチャーリーと後押ししてくれ一緒に動物愛護センターに来てくれてそうだねビーグル犬なら体格も小柄だし人なつこい反面猟犬の性質も残して活発だというよチャーリーそうだねぼくにはぴったりかもしれないな……しかしスヌーピーを引き取りにいった時のこと、そこにライナスがいたことをチャーリーが初めて思い出したのは、ライナスと初めて顔を合わせた時だったのです。つまりそれまではスヌーピーは単に……チャーリーは単にスヌーピーの飼い主でしたが、ライナスの出現とともにチャーリーとスヌーピーの間には来歴という物語性のようなものが生まれました。そうだ、そうだったんだ。
 だから今ライナスの不在が顕しているのは、とチャーリーは思いました、そういうことに違いない。ぼくら、スヌーピーとぼくにはもう共有してきた過去というものがないのだ。

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