Flea-"Topi o Uomini"Italy,1972(Full Album)
A1. - Topi o Uomini(20:24) : http://youtu.be/jvB6xhqvJvY
B1. - Amazzone a piedi(4:10) : http://youtu.be/OWIN-NMx0qA
B2. - Sono un pesce(6:30) : http://youtu.be/p1WYnCllHkU
B3. - L'angelo timido(5:51) : http://youtu.be/K7Tmtdior38
Agostino Marangolo - drums, vibraphone, percussions
Antonio Marangolo - vocals, harmonica, piano, harmonium
Carlo Pennisi - guitar, mandolin, vocals
Elio Volpini - bass, soprano sax, vocals
*
フレアは70年代イタリアのハードロック・グループ。 72 年、METAMORFOSI、GARYBALDI のツアー・サポートを経て結成。 FLEA ON THE HONEY名義および FLEAで二枚のアルバムを残し、ETNAに改名後さらに一作を残す。 その後マランゴロ兄弟は GOBLINに参加。 エリオ・ヴォルピニは FLEA の後 L'UOVO DI COLOMBOを結成するも、ETNA ヘ復帰-
というのが日本で知られているこのバンドの経歴で、フレアのアルバムはイタリア国営放送局のレーベル、フォニト・チェトラから発売されたくらいだから力量は本国でも認められたものだったろう。メンバーもゴブリンやエトナで後年さらに高い評価を得るのだが、このフレアのアルバム自体はマニアの多いイタリアの70年代ロックの中ではあまり語られることが少ない。72年はイタリアのロックが翌年にかけて盛り上がりをかけた年で、重鎮イ・プーとフォルムラ・トレは『ミラノの映像(アレッサンドラ)』、『夢のまた夢』を出し、成長株ニュー・トロルスとオザンナは『UT』と『ミラノ・カリブロ9』で成果を上げ、ついにイタリアの切り札バンコ・デル・ムトゥオ・ソッソルソとプレミアータ・フォルネリア・マルコーニがデビュー作を発表する。
と、こうして上げていくとフレアがイタリアのロックを愛好する人にあまり好まれないのもなんとなく納得がいく。先に上げたグループがメロディアスでドラマチックな、情感に強く訴えかけてくるような、ああイタリアだなあという日本人のイメージするムードがフレアにはないのだ。テクニックは後に参加するバンドでも実証されたようにバンコやPFMのメンバーと較べても遜色ない。むしろ英米ロックの咀嚼度では勝っているくらいかもしれないが、そこがかえってイタリアらしさを稀薄にしている感がある。同時期の北欧の暗いヘヴィ・ロックのグループ、ブルース・アジェクツとかハーディ・ガーディみたいなアンダーグラウンドなアシッド感があり、実はブルース系英米ロックにはあってイタリアでは洗い流されたのはアンダーグラウンドなアシッド感でもある。
フレアの曲はかなり凝ったものだが、これも日本人好みの整然としたプログレッシヴ・ロックの緻密な構成美ではなく、どんな方向に進み、どこに着地するのか不安になるような展開をみせる。ピアノ、ヴィブラフォン、サックスも持ち替え楽器でアンサンブルに加わるが、基本はツイン・リードギター+ベース+ドラムスの編成で、ヴォーカルの比重は少ない。専任ヴォーカリストはいないのでコーラスを重ねており、それが余計に淡々と地味に聴こえる。
アメリカのイタリア系バンドと言えば70年代ではエアロスミスだが、アルバム・タイトル曲『ネズミか人か』などを聴くとギターがジョー・ペリーとブラッド・ウィトフォードみたいに聴こえる。ペリーは基本はブギー・ブルース、ウィトフォードはブリティッシュ・ハード・ロックのスタイルで作曲・演奏するギタリストだが、エアロスミスのヘヴィ・ロック的な面とフレアのサウンドはリフまでよく似ている。エアロはフレアほど曲の構成に凝らないし、フレアほどアンダーグラウンドなアシッド感はなく、バンドの演奏技術もフレアはエアロより数段上たが、フレアにはスティーヴン・タイラーがいなかった。もっとも専任ヴォーカリストがいたイタリアのバンドはどのヴォーカリストもうまいのに、それが商業的成功に結びついたバンドはほんの一握りだったから、フレアに強力なヴォーカリストがいてもアルバム一枚で終わる運命には変わらなかったかもしれない。だがヴォーカルとキーボードを中心にしたアルバムだったら、おそらくもっと整理された構成になっていて、日本のマニアの好みに合った音楽に近くなったかもしれない。
フレアのアルバムはどちらかといえば「サイケデリック感覚を残したプログレッシヴ・ロック時代のヘヴィな無国籍ギター・ロック」を愛好する人向けだろう。イギリスのスキッド・ロウ(ゲイリー・ムーア)やT2、クリアー・ブルー・スカイ、ヒューマン・ビーストらと近いし、日本のフラワー・トラヴェリン・バンドやブルース・クリエイションにも近い。この "Topi o Uomini" を聴くと、エアロスミス『ロックス』の旧LP-B面を思い出しもする。
A1. - Topi o Uomini(20:24) : http://youtu.be/jvB6xhqvJvY
B1. - Amazzone a piedi(4:10) : http://youtu.be/OWIN-NMx0qA
B2. - Sono un pesce(6:30) : http://youtu.be/p1WYnCllHkU
B3. - L'angelo timido(5:51) : http://youtu.be/K7Tmtdior38
Agostino Marangolo - drums, vibraphone, percussions
Antonio Marangolo - vocals, harmonica, piano, harmonium
Carlo Pennisi - guitar, mandolin, vocals
Elio Volpini - bass, soprano sax, vocals
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フレアは70年代イタリアのハードロック・グループ。 72 年、METAMORFOSI、GARYBALDI のツアー・サポートを経て結成。 FLEA ON THE HONEY名義および FLEAで二枚のアルバムを残し、ETNAに改名後さらに一作を残す。 その後マランゴロ兄弟は GOBLINに参加。 エリオ・ヴォルピニは FLEA の後 L'UOVO DI COLOMBOを結成するも、ETNA ヘ復帰-
というのが日本で知られているこのバンドの経歴で、フレアのアルバムはイタリア国営放送局のレーベル、フォニト・チェトラから発売されたくらいだから力量は本国でも認められたものだったろう。メンバーもゴブリンやエトナで後年さらに高い評価を得るのだが、このフレアのアルバム自体はマニアの多いイタリアの70年代ロックの中ではあまり語られることが少ない。72年はイタリアのロックが翌年にかけて盛り上がりをかけた年で、重鎮イ・プーとフォルムラ・トレは『ミラノの映像(アレッサンドラ)』、『夢のまた夢』を出し、成長株ニュー・トロルスとオザンナは『UT』と『ミラノ・カリブロ9』で成果を上げ、ついにイタリアの切り札バンコ・デル・ムトゥオ・ソッソルソとプレミアータ・フォルネリア・マルコーニがデビュー作を発表する。
と、こうして上げていくとフレアがイタリアのロックを愛好する人にあまり好まれないのもなんとなく納得がいく。先に上げたグループがメロディアスでドラマチックな、情感に強く訴えかけてくるような、ああイタリアだなあという日本人のイメージするムードがフレアにはないのだ。テクニックは後に参加するバンドでも実証されたようにバンコやPFMのメンバーと較べても遜色ない。むしろ英米ロックの咀嚼度では勝っているくらいかもしれないが、そこがかえってイタリアらしさを稀薄にしている感がある。同時期の北欧の暗いヘヴィ・ロックのグループ、ブルース・アジェクツとかハーディ・ガーディみたいなアンダーグラウンドなアシッド感があり、実はブルース系英米ロックにはあってイタリアでは洗い流されたのはアンダーグラウンドなアシッド感でもある。
フレアの曲はかなり凝ったものだが、これも日本人好みの整然としたプログレッシヴ・ロックの緻密な構成美ではなく、どんな方向に進み、どこに着地するのか不安になるような展開をみせる。ピアノ、ヴィブラフォン、サックスも持ち替え楽器でアンサンブルに加わるが、基本はツイン・リードギター+ベース+ドラムスの編成で、ヴォーカルの比重は少ない。専任ヴォーカリストはいないのでコーラスを重ねており、それが余計に淡々と地味に聴こえる。
アメリカのイタリア系バンドと言えば70年代ではエアロスミスだが、アルバム・タイトル曲『ネズミか人か』などを聴くとギターがジョー・ペリーとブラッド・ウィトフォードみたいに聴こえる。ペリーは基本はブギー・ブルース、ウィトフォードはブリティッシュ・ハード・ロックのスタイルで作曲・演奏するギタリストだが、エアロスミスのヘヴィ・ロック的な面とフレアのサウンドはリフまでよく似ている。エアロはフレアほど曲の構成に凝らないし、フレアほどアンダーグラウンドなアシッド感はなく、バンドの演奏技術もフレアはエアロより数段上たが、フレアにはスティーヴン・タイラーがいなかった。もっとも専任ヴォーカリストがいたイタリアのバンドはどのヴォーカリストもうまいのに、それが商業的成功に結びついたバンドはほんの一握りだったから、フレアに強力なヴォーカリストがいてもアルバム一枚で終わる運命には変わらなかったかもしれない。だがヴォーカルとキーボードを中心にしたアルバムだったら、おそらくもっと整理された構成になっていて、日本のマニアの好みに合った音楽に近くなったかもしれない。
フレアのアルバムはどちらかといえば「サイケデリック感覚を残したプログレッシヴ・ロック時代のヘヴィな無国籍ギター・ロック」を愛好する人向けだろう。イギリスのスキッド・ロウ(ゲイリー・ムーア)やT2、クリアー・ブルー・スカイ、ヒューマン・ビーストらと近いし、日本のフラワー・トラヴェリン・バンドやブルース・クリエイションにも近い。この "Topi o Uomini" を聴くと、エアロスミス『ロックス』の旧LP-B面を思い出しもする。