The Doors - R-Evolution (Official DVD Release,2013) : http://youtu.be/0EqGbB2qi6I
1. Break On Through (To The Other Side) - Music Film (1967.1)
2. Break On Through (To The Other Side) - Shebang (1967early O.A.)
3. The Crystal Ship / Dick Clark Interview / Light My Fire - American Bandstand (1967.7.O.A.)
4. Light My Fire -Malibu U (1967.8.O.A.)
5. People Are Strange - Murray The K In New York (1967.9.O.A.)
6. Moonlight Drive - The Jonathan Winters Show (1967.12.O.A.)
7. Unknown Soldier - Music Film (1968.2)
8. Hello, I Love You - Musik Fur Junge Leute : 4-3-2-1 Hot And Sweet (1968.9.OA.)
9. Touch Me - The Smothers Brothers Comedy Hour (1968.12.O.A.)
10. Wild Child - Music Film (1969.7)
11. Roadhouse Blues - Music Film (1970.2)
12. Crawling King Snake - GTK (Get To Know) (1971.3.O.A.)
13. The Changeling - Music Film (1971.4)
14. Gloria - Music Film (1983.10)
15. People Are Strange - Music Film (1984)
16. Strange Days - Music Film (1980's)
17. L.A. Woman -Music Film (1985)
18. Ghost Song - Music Film (1995)
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2014年度のロック発掘映像はザ・ドアーズのディスク2作で決まりだった。まず1月にアメリカ・日本でほぼ同時発売になったのが『R-Evolution』で、ヨーロッパ盤先行で2013年末に発売されていたが2014年度作品としてもいいだろう。ほぼ全編をまとめたものがリンク先で試聴できるが、これが1967年~1970年の映像かと驚嘆するほど映像も音声も美しく、レストア(デジタル修復作業)の成果が素晴らしい。これはドアーズほど伝説的人気があり、かつメンバー間でバンドのアーカイヴ化の意志が強いバンドだからこそ可能なことで、リーダーのレイ・マンザレク(オルガン、2013年5月逝去)にとってはこのテレビ出演・プロモ映像集が遺作となったといえる。内容は半数が既発映像だが半数はこれが公式発売は初めてで、存在も知られていなかった映像も多く、先に強調した通り画質・音質は最上のものになっている。
ドアーズ初のオフィシャル映像ソフトは1985年にVHSヴィデオで発売され、これは60年代のロック・バンドのアーカイヴ映像ソフトではもっとも早いものだった。ジム・モリソン(ヴォーカル)とマンザレクはカリフォルニア州立大学の映像科学生だったので、バンドの映像素材を大切に保有していた。『R-Evolution』は素晴らしい発掘だが、『ダンス・オン・ファイア』もマンザレクの監督作品としてドアーズの映像ソフトの最初の記念碑といえるものだった。
The Doors - Dance on Fire(Official VHS-Video Release,1985): http://youtu.be/BwSDTxbEH9E
1. Break On Through / 2. People Are Strange / 3. Light My Fire / 4. Wild Child / 5. L.A. Woman / 6. The Unknown Soldier / 7. Roadhouse Blues / 8. Texas Radio and the Big Beat / 9. Love Me Two Times / 10. Touch Me / 11. Horse Latitudes / 12. Moonlight Drive / 13. The End / 14. Crystal Ship / 15. Adagio / 16. Riders On The Storm
Director: Ray Manzarek
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The Doors - Feast Of Friends(Filmed 1968,Official DVD Release,2014)- Trailer HD: http://youtu.be/D0mggL7Gew0
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ドアーズはバンド自身でプロモ映像を制作したバンドの草分けだったと言われる。それが2014年の秋にはついに出た。海賊盤アナログLPで音声だけだったり、ダビングにダビングを重ねたような(しかも不完全版の)海賊盤ヴィデオやDVDでしか手に入らなかったドアーズ幻の自主制作プロモ映画『フィースト・オブ・フレンズ』(1968年制作、約35分)がついにオリジナル・フィルムからディスク化された。ディスク内容は4部に分かれており、第1部が『フィースト・オブ・フレンズ』本編、第2部が『フィースト・オブ・フレンズ』未使用フィルム(約35分)、第3部がドアーズのコンサートのフル映像でも『ライヴ・アット・ハリウッド・ボウル』1987(撮影1968)と並ぶ傑作『ザ・ドアーズ・アー・オープン』1990(テレビ放映1968)の最新リマスター(約55分)で、これはジェファーソン・エアプレインとのダブルビルのイギリス~ヨーロッパ・ツアーだったため短いが、全8曲に濃密に煮詰めた演奏を堪能でき、単独発売されていた『ザ・ドアーズ・アー・オープン』のDVDより画質も音質も向上した上に単独発売盤は廃盤でプレミア価格がついているから、映画『フィースト・オブ・フレンズ』とのカップリングならお釣りがくる。
The Doors Are Open (1968,Full Movie / Official VHS-Video Release,1990): http://youtu.be/cml_eWm6wlI
1. Introduction - When the Music's Over / 2. Five to One / 3. Spanish Caravan / 4. The Doors Talk About Their Music - Hello, I Love You / 5. Back Door Man / 7. Jim Morrison On Expression - Wake Up - Light My Fire / 8. The Unknown Soldier
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また、第4部は2002年に発表された三回分のテレビ出演(2時間分)をまとめた『サウンドステージ・パフォーマンセズ』から、ハイライトとなったすさまじい『ジ・エンド』のテレビ用ライヴ(!)という必見の映像がやはりリマスター再録されている。
The Doors - The End (TV-Show, Toronto, 1967): http://youtu.be/xDLQlzTf9Mw
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2014年発売の上記2作が揃ったので、DVDまたはブルーレイでザ・ドアーズの映像ソフトを集めるには、あと『ライヴ・アット・ハリウッド・ボウル』Live At Hollywood Bowlと『サウンドステージ・パフォーマンセズ』Soundstage Performancesで一応は足りるようになった。問題はドアーズ最初のオフィシャル・ヴィデオ『ジム・モリソンに捧ぐ』No One Here Gets Out Alive(1981)と前述のレイ・マンザレク監督作品『ダンス・オン・ファイア』Dance On Fire(1985)、さらにやはりマンザレク監督作品の『ザ・ソフト・パレード』The Soft Parade - A Retrospective(1991)で、ドアーズのヒストリー・ヴィデオである『ジム・モリソンに捧ぐ』は『サウンドステージ・パフォーマンセズ』と2枚組で『ザ・ドアーズ~プレミアム・エディション』でのみ日本盤ディスク化されているが、使用された映像素材14曲(うち完奏は3曲のみ)はほとんど後発ソフトに完全なかたちで再収録されてしまった。ミュージック・クリップ集の『ダンス・オン・ファイア』と68年のバンド内部の危機的状況をテレビ出演映像と絡めたドキュメンタリー作品『ザ・ソフト・パレード』は『ライヴ・アット・ハリウッド・ボウル30thアニヴァーサリー』1998に『~ハリウッド・ボウル』とともに収録された以外単独DVD/ブルーレイ化されていないが、内容はやはり後発ソフトにほぼ吸収されているとはいえレイ・マンザレク監督作品であり外すに忍びない。ところが『ライヴ・アット・ハリウッド・ボウル』はブルーレイ対応に2012年にリマスターされて、62分のディスクから映像と音声の修復によって本編71分、特典映像64分と倍以上の収録内容になった。画質と音質の向上も当然目覚ましい。そのかわり『30thアニヴァーサリー』で増補されていたマンザレク監督作品2作は今回は未収録になった。1998年の『30thアニヴァーサリー』盤は『ダンス・オン・ファイア』と『ザ・ソフト・パレード』の併録しか価値がなくなってしまった。レイ・マンザレク監督作品ならば映像によるドアーズのオリジナル作品という位置づけができるだけに、やはりこれもマストな映像ソフトだろう。
今のところ『フィースト・オブ・フレンズ』の日本盤発売予定はないようだが、『ジム・モリソンに捧ぐ』『ザ・ソフト・パレード』と『フィースト・オブ・フレンズ』はドキュメンタリー作品でもあるので日本語、または英語字幕つきで鑑賞するに越したことはない。ネイティヴ・スピーカーでも50年前のドキュメンタリーは正確に言葉が聞き取れないのは珍しくない。音楽やフィクションは当時のままで聴けるが、ドキュメンタリーのトークとなると50年間では相当な変化があるのが普通だからだ。
後半はドアーズ映像ソフト・ガイドみたいになってしまったが、一年のうちにツタンカーメン級の発掘映像が2枚もソフト化されるのだから、これで打ち止めかまだまだあるのか予断を許さないバンドではある。ひさびさに『ダンス・オン・ファイア』や『ザ・ドアーズ・アー・オープン』を観直したが、のめり込むようにドアーズのアルバムを聴いていた高校生の頃の気分がよみがえってしまった。まだホームヴィデオもなかったアナログLPの時代だ。こうしていつでも居ながらに映像が観られるなんて信じられない気がする。